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前田 晴良 MAEDA, Haruyoshi
アメリカ合衆国ユタ州ベアレイク下部三畳系Columbites
parisianus Zoneにて
● 所属・職名
九州大学総合研究博物館・分析技術開発系・教授
理学府・地球惑星博物学講座（古生物学）兼担
● 専門分野
１）アンモノイド類の分類・進化・古生態
２）例外的に保存の良い化石層（化石鉱脈：fossil
Lagerstätten）のタフォノミー
● 所属学会・団体
日本古生物学会［評議員，常務委員］，日本地質学会，日本堆積学会，地球惑星科学連合，国際古生物学連合（International
Paleontological Association），英国古生物学協会（Palaeontological
Association），英国記載古生物学会（Palaeontographical
Society），米国古生物学会（Paleontological
Society），米国堆積地質学会（SEPM），米国地質学会（GSA）
● 学位・賞罰
1989年：理学博士［東京大学］
1989年：昭和63年度 日本古生物学会論文賞
1994年：平成5年度 日本古生物学会論文賞
1998年：平成9年度 日本古生物学会学術賞
2010年：平成21年度 日本古生物学会論文賞
2010年：日本古生物学会優秀ポスター賞
● プロフィール
1958年：東京・品川生まれ
1976年：高校野球 西東京大会準々決勝進出
1981年：東京大学理学部地学科卒業
1983年：東京大学大学院理学系研究科修士課程修了
1985年：高知大学理学部助手
1991年：京都大学理学部助手
1995年：京都大学大学院理学研究科助教授
1999-2000年：オハイオ大学客員教授
2007年：京都大学大学院理学研究科准教授
2012年：九州大学総合研究博物館・教授 現在に至る
● 研究紹介 論文リスト
地層中に残された太古の生物の化石は，過去三十数億年間にわたる生物圏の変遷を記録したもっとも精度の高いモニターであると同時に，地質学的時間スケールにおける生物進化の歴史やその要因，さらに今後の生物圏がどうなるのか？という問いに対する答えをその中に秘めています．化石と同じ目線に立ち，化石が語るメッセージを詳細な野外調査や観察を通して読み取り，化石そのものに関する未解明のパズルをひとつひとつ解いてゆくというが私の目標です．
具体的には１）アンモナイト類の分類学的，古生態学的，層序学的研究；２）化石の保存・産状あるいは化石鉱脈（皮膚や筋肉が残された例外的に保存の良い化石層）からその死因・環境条件・遺骸の運搬や埋没を復元する試み（タフォノミー）など，化石の産状や保存されることの意義に視点をおいた『古生態学的視点からの無脊椎動物化石の研究』を進めています．その基本は，野外での徹底的な露頭観察です．それと同時に，電子顕微鏡，光学顕微鏡，軟Ｘ線，精密写真撮影などを用いて，ひとつひとつの研究対象についてスケールの異なる観察をつみ重ねてゆく実証的な手法を重視しています．
いずれの研究も野外調査を重視しており，指導する４回生の卒論や大学院生の研究のテーマもフィールド調査に根ざしたものが主体です．大学院生を対象にした野外実習も実施しています．さらに，他の大学・研究機関との研究交流も活発におこなっています（協力機関を参照）．これらの研究教育機関の研究者や大学院生，学生と共同研究を実施し，海外調査でチームを組むなどしてお互いに切磋琢磨しています．
● 最近のトピックス
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１）国産化石鉱脈（栃木県・更新統塩原層群）の論文の写真がPalaios,
vol.23, no.4の表紙に掲載！ Allison, P.A., Maeda, H., TuZino, T., and Maeda,
Y. (2008)
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２）カンブリア紀の著名な化石鉱脈：オルステンの成因（＝汚物だめ保存）を解明した研究が掲載され，その論文の写真がPALAIOS,
vol.24, no.4の表紙に掲載！ Maeda, H., Tanaka, G., Shimobayashi, N., Ohono,
T., and Matsuoka, H. (2011)
朝日新聞，毎日新聞，日本経済新聞，産経新聞，中日新聞，京都新聞の6紙に関連記事が掲載された．
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● 大学院進学希望者へ
古生物学は非常に古い歴史を持ちながら，21世紀になってもなお多くの人々を引きつけて止まない魅力にあふれた分野です．そのため各地の大学にさまざまな古生物学研究者が在籍し，それぞれ特色ある研究をおこなっています．大学院では，指導教員との対話や協力関係を築くことが何より重要になります．したがって，進学先を選ぶ際は大学名やイメージで選ばずに，『どの大学にどのような研究者がいて，どのような研究をおこなっているか？』，さらに『自分のやりたいことをするには誰につけばよいか？』という事前のリサーチを十分行うことをお勧めします．同じ大学内でも，研究者によってアプローチが全く異なる場合もしばしばあります．
九州大学の地球惑星博物学講座は，私（前田；古生物学）と中牟田義博准教授（鉱物学）が担当し，このうち古生物学分野は理学府の地球進化史講座および古環境学講座と協力して研究・教育を行っています．
私は高知大学，京都大学，そして九州大学と仕事の節目ごとに大学を移りましたが，いずれの大学の研究室でも，以下の３点を重視してきました．
１）野外調査を重視し，化石と同じ目線に立って辛抱強く観察・対話し，化石の語るメッセージを聞き取る（＝化石語会話能力）．
２）マップ・柱状図の作成，分類・記載，標本の鑑定，スケッチ・写真撮影など，一般には“博物学的”と見なされている手法を駆使する（＝博物学の知識と技術こそが，他人や機械に頼らず自力で新しい科学を切り開く際の真のカギになる）．
３）健康と体力と集中力．
学生・大学院生はそれぞれ独自の研究テーマを持ち，そのフィールドは国内各地にわたっており，博士課程の一部の大学院生は海外をフィールドにしたケースもあります．したがって『理屈抜きに化石や地質が好き』，『実物に惹かれる．それについて知りたい』，『山を歩き，露頭を掘っている時が至福』という方々には，特にお勧めできる選択肢のひとつではないかと思います．もちろん初めはそうでない方でも，フィールド古生物学という“塀”の中で何年か飯を喰っている間に変貌を遂げる人が少なからずいます．
一方，『恐竜を研究したい』，『バージェス頁岩化石群をやりたい』という希望がよく寄せられます．研究の動機づけとしてはとても大切ですし，私はそれを研究テーマに据えることを否定しません．ただしその場合，『実際にどのように許可を取り，現場に行き，どこの露頭を発掘し，サンプルを実行可能かつ合法的な方法で大学に持ち帰るのか』という具体的なプランの説明を学生自身に求めます．『自分自身で露頭に出かけ，観察し，自力で発掘した材料を使って自由に研究する』というのが私たちのグループの基本ルールだからです．
真剣に体を張って古生物学をやりたいという方であれば出身大学は問いません（出身校を参照）．研究する上で不可欠な基礎学力を計るために，学内・学外を問わず大学院入試を課していますが，それが決して乗り越えられない壁ではないことは，あなた方の先輩が実証しています．化石・古生物に惹かれ，『化石とは何か？』を突き詰めて探究したい方のチャレンジを待っています．
なお，事前に連絡をいただければ，研究室訪問も受け入れます．お気軽にお立ち寄り下さい．
A:（遠景）ロシア共和国サハリン州マカロフ地域の上部白亜系大露頭.
B:（近景）・・・・・（ノーコメント）
● 協力機関（順不同）
中川町立エコミュージアム，三笠市立博物館，むかわ町立穂別博物館，産業総合研究所（地質調査所），千葉大学，埼玉県立自然の博物館，東京大学，東京国立科学博物館，群馬県立自然史博物館，海洋開発機構，静岡大学，名古屋大学総合研究博物館，京都大学総合研究博物館，徳島県立博物館，高知大学，愛媛大学，北九州市いのちのたび博物館，熊本大学，御所浦白亜紀資料館ほか
● 過去10年間に受け入れた大学院生の出身校（順不同）
東北大学，東京学芸大学，大東文化大学，静岡大学，信州大学，富山大学，京都大学，神戸大学，島根大学，高知大学，愛媛大学，九州大学，熊本大学ほか
● 直接指導したOB・OGの就職先（順不同）
高知大学，熊本大学，筑波大学，東京大学，京都大学，産業総合研究所（地質調査所），むかわ町立穂別博物館，群馬県立自然史博物館，埼玉県立自然の博物館，徳島県立博物館，北九州市立いのちのたび博物館，島根県環境保険公社，石油資源開発（JAPEX），IMPEX，ダイヤコンサルタント（株），パシフィックコンサルタント，各地の高校教員など
● 連絡先
〒812-8581 福岡市東区箱崎６−１０−１
九州大学総合研究博物館 (旧工学部本館3F・330号室)
・Phone：092-642-4296；FAX：092-642-4252
・E-mail：maeda museum.kyushu-ac.jp
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