九州大学が収蔵する様々な分野の学術標本・資料のうち約145万点が箱崎地区の旧工学部本館に収蔵されています。資料の一部は3階の常設展示室と、館内各所の「開示室」で公開しています。このページでは、各開示室を360°写真とともに紹介します。
常設展示室を除く各開示室は、年に2回ほど不定期で公開しています。開示室の一般公開に関する情報は、総合研究博物館ホームページでお知らせします。
現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止のため、総合研究博物館は休館しています。当館がある箱崎キャンパス内へも立入禁止になっています。休館があけるまで、こちらの仮想展示をお楽しみください。

旧工学部本館

箱崎地区旧工学部本館エントランス - Spherical Image - RICOH THETA
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箱崎地区のシンボルともいえる建物で、工学部の伊都キャンパス移転後、2007(平成19)年から総合研究博物館の活動拠点となっています。九州帝国大学に工科大学が設置された当時の初代本館は木造レンガ壁でしたが、1923(大正12)年に火災で焼失してしまいました。その後、1930年(昭和5)年に鉄筋コンクリートで再建されたのが現在の旧工学部本館です。設計は、文部省技師として九大に赴任し、大学建築課初代課長を務めた倉田謙によるもので、建設当時は福岡市内で最も高い建物でした。ここに示した玄関は、特に見どころある細部の装飾が集中しており、天井には青銅製の灯火とステンドグラスが埋め込まれ、両脇の柱には猛禽類をかたどった竜山石製の迫持ちが配置されています。なお、この建物の向かいにある赤レンガの建物(本部第一庁舎)には、初代本館の焼け残りのレンガが再利用されています。

壁画の会議室

壁画の会議室 - Spherical Image - RICOH THETA
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帝国大学時代に工学部教授会などの重要な会議に使われていた部屋で、当時の華やかな雰囲気がそのまま残っています。机や椅子などの調度は特注品で、発注書類が現在も大学文書館で保管されています。壁画は工科大学教授だった西川虎吉博士の還暦・退官の記念として、画家青山熊治が制作したものです。中国の陰陽五行説を画題としており、木・火・土・金・水の5元素を象徴する人物が描き込まれています。5元素は工学技術と深くかかわり、工学が調和して発展する姿が象徴されています。壁画の左側奥にある手回し蓄音機は、2014年に寄贈された田村悟史コレクションの一部です。

工学部列品室

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1911年の九州帝国大学工科大学発足時からの長い歴史を持つコレクションです。かつて工学部には各学科の列品室がありましたが、大正12年の本館火災の後は採鉱学科、冶金学科の列品室だけが、現在の旧工学部本館に再整備されました。かつては本館3階全体が列品室でしたが、現在は2室に圧縮されています。鉱物コレクションの主体はその時にヨーロッパから購入した鉱物標本です。後の採鉱学科の教員が研究を通して集めた日本各地の鉱山の鉱石を合わせると約4000点になります。このほか、江戸時代の鉱山文書や鉱山道具、石炭関連標本や削岩機、ドイツのフライベルク鉱山大学製の精密模型など、鉱山技術史の重要資料も含まれます。

工学系資料開示室

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鉱山関連の燈火(とうか)や救急装備、製錬産物、医学部から移管されたX線管球(詳細はこちら)などを展示しています。展示用の什器は全て、伊都キャンパスへの移転の際に救済した木製家具です。また、床半分敷いてある木レンガは工学部機械学科の実習工場(知能機械実習工場)の床面から回収したものを再利用しています。元々は工作機械の周りに敷かれていたもので、木目を縦に使うことで、機械油が自然に床に染み込むように機能していました。

高壮吉鉱物標本開示室

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工学部採鉱学教室の高壮吉教授が、1890年代から1930年代にかけて収集した鉱物コレクション「高標本」を3室で展示しています。標本は、日本国内はもとより朝鮮半島、台湾、中国などで収集されており、現在では入手不可能な大型で豪華な結晶標本が含まれるのが特徴です。和田維四郎標本(三菱マテリアル所蔵)や若林彌一郎標本(東京大学所蔵)と共に日本三大鉱物コレクションの一つに数えられますが、この三大コレクションのなかで展示公開されているのはこの「高標本」だけです。歴史ある木製展示ケースにもご注目ください。

化石閲覧開示室

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本学教員が海外学術調査等によって採集したアンモナイト化石、およびクラウドファンディングによるご支援で世界各地から集めたアンモナイトを見ることができます。部屋の中央に鎮座している直径80センチの大型標本は、サハリン調査で採集したアンモナイト絶滅直前の種類です。また、恐竜が闊歩していたジュラ紀を細かく分けた時代の指標となるアンモナイト化石(示準化石)も揃いつつあります。いずれも現在研究中の標本で、日本初公開のものも多い一方、その希少性から、すでに書籍に採録された標本もあります。まだ岩の中に埋もれた状態の未処理のものもありますが、その中に新発見が埋まっています。

昆虫標本開示室

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九州大学は昆虫研究の中心地で、収蔵されている昆虫標本は約400万点に及びます。この数は国立科学博物館をしのぎ、日本最大を誇ります。この部屋には、そのごくごく一部ですが、ひときわきらびやかなものを集めました。また、中央の展示ケースで箱に入ったまま展示されているのは、カメムシとカワリタマムシの未整理の状態の標本ですが、今では入手困難な地域の標本も多く、多数の新種を含む宝の山といえます。このほか、昆虫の標本作製の道具や、昆虫採集の道具なども展示しています。

植物資料開示室

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本学の植物関係の戦前資料を中心に、学術的な植物標本がどのようなものかを紹介しています。右端の棚にみえる果実標本は、「タコノキ科」です。形の多様さがみどころです。その二つ隣の引き出し型の標本棚には、戦前、国内外から集められたコメの原種と品種の標本が収められています。そのほか種子標本やおし葉標本もご覧いただけます。その他の植物学関連資料として、植物病理の「教育掛図」を右側の壁に展示しています。この開示室で用いられている什器も全て、移転時の救済家具です。

動物剥製標本開示室

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鳥と獣の剥製を収蔵しています。奥の棚にあるのは、糸島市周辺に生息している鳥と獣の剥製です。多くは伊都キャンパス周辺で自動車事故にあった個体です。手前の台にあるのは絶滅したニホンアシカで、日本に数個体しか残っていない貴重な剥製です。農学部の収蔵庫の取り壊しに伴って発見され、調査の結果、かつて筥崎宮の近くにあった箱崎水族館で飼育されていた個体であることがわかりました。

動物骨格標本開示室

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医学部教授であった進藤篤一教授が大正年間に収集し、比較解剖学の授業に用いた標本を展示しています。その多くは、現在では貴重な「交連骨格標本」(動物の形に組み立てられた標本)で、多様な種を網羅しており、骨の形の比較を通じて生物進化の道筋を追うことができます。中央の大きなケースで展示されているのはウシ(右)とトナカイ(左)。足の先に注目すると二つに分かれており、どちらも偶蹄類であることがわかります。この写真ではちょうど見えない位置にありますが、進化の過程で退化した「イルカの骨盤」「ウマの三本指」なども見ることができます。木製の展示ケースは特注品で、分解可能な凝った作りです。

人骨資料開示室

当館には約3000体に及ぶ古人骨が収蔵されています。これらの資料は主として1950年に医学部教授として着任した金関丈夫教授とその後継者である永井昌文教授を中心に医学部第二解剖学講座によって調査・収集されたものです。人骨の時期は縄文時代から近世・近代にわたりますが、特に弥生時代人骨は、日本人起源論争に関わる学史的に重要な資料です。この部屋では、それらの一部を展示し、時代ごとの人骨の特徴や、人骨を用いた性別判定の方法などを紹介しています。

常設展示室

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当館が収蔵する標本・資料のなかから、各分野で特に重要な資料を展示しています。「カブトガニの足跡化石」や「警固断層の地層剥ぎ取り標本」などの珍品もあります。「蝶額」は白水隆先生が退職記念に寄贈されたもので、世界各地の美麗な蝶の標本がちりばめられています。この部屋は、かつて階段教室として使われていた「9番講義室」を改装したもので、床の階段はその時の名残です。入ってすぐのミニ展示コーナーでは、定期的に企画展示も行っています。

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