ようこそ「わくわくドキドキ化石のヒミツ」展へ

 地球上のすべての生き物は、ゆるやかな時の流れの中で、生態系の中での複雑な相互作用や自然環境の変化により発展衰退の歴史を繰り返してきました。しかし、現代はいまだかつてないスピードで生き物が滅びゆ行く危機的状況と化しています。このような状況をつくりだしたのは人類なのかもしれません。生態系の中心に存在するのが人類とすれば、この生態系の危機を改善できるのも人類以外にはありません。
本合同企画展は、トリケラトプスの骨格標本のレプリカをはじめいろいろな三葉虫のひょうほん標本、さらに、九州大学の研究の成果をもとに、さまざまな種類の化石と、化石からわかる興味深い古代生物の世界を紹介します。これらをご覧いただくことで、地球上の生物の変遷や生命の不思議さ偉大さを感じ、『地球環境』や『自然と人類の共生』を考えるきっかけづくりの場となることを願っております。

九州大学総合研究博物館
館長  多田内  修
福岡市立少年科学文化会館
館長  旭  博 幸

実行委員長からのごあいさつ


 いま地球上では、多様な生物たちがさまざまな環境に生息しています。赤道近くの暖かい海から北極圏の寒い海、光あふれるサンゴ礁から深さ数千メートルもの深海、また乾燥した砂漠から熱帯雨林・・・。生物たちは巧みに環境に適応して生きています。しかし海水温の上昇が原因といわれるサンゴの白化現象のように、生物は環境の変化に対してたいへん敏感です。環境の変化に応じて、繁栄するものがいるいっぽうで、衰え、滅び去るものもあります。つまり、生物とは、環境とその変化を映し出す鏡だともいえます。
 およそ46億年前に地球が誕生してから今日まで、地球の環境はさまざまに変化してきました。温暖化や寒冷化などの気候変化、海流や気流の変化、海岸線の前進と後退などが、ゆっくりと、ときには小刻みに、繰り返されてきました。こうしたはるかな過去に起きた地球環境の変化を現在に伝えてくれるもの、それはいま私たちが化石として目にする過去の生物たちです。そして過去を知ることは、多くの人々の好奇心をくすぐります。
 しかし、過去の地球環境とその変化を知ることは、それだけにとどまりません。過去の地球環境の変化の末に、現在の地球環境が形作られています。さらにその先には、将来の地球のすがた姿を予測することもできることでしょう。
 この企画展示では、こうした視点にたって、化石から過去の地球環境を探ろうとしている研究の一端を紹介いたします。出展者一同は、21世紀の地球に生きる子供たちが、地球環境とその変化という問題に少しでも興味をもってほしいと願ってパネルなどを準備しました。この企画てんじ展示が、地球環境の過去、現在、そして未来を考えるきっかけとなればとおも思います。

出展者一同を代表して
企画展示実行委員長
佐野弘好(理学研究院地球惑星科学部門)