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 北九州市若松区の夏井ヶ浜は、芦屋群層の地層がよく観察される場所のひとつですが、ふつうとは違う順番の地層が見つかっています。泥と砂の地層は、海面の波の影響を受けない深い水深で、密度流によって運ばれてできる地層でした。ところがこの上に、オフィオモルファの生痕化石をたくさん含む地層があるのです。本来このふたつの地層の間には、少なくとも100メートルの水深の違いがあるはずなのです。これは、どういうことなのでしょう?
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これは、海面が、非常に大きく短い期間で下がったことを示しています。夏井ヶ浜の地層ができた約2900万年前は、地球が冷える氷河期の中でも一番冷えたころで、南極の氷床が一番おおきくなったときでした。それで、世界の海水面は、一気に下がったのです。夏井ヶ浜の地層には、その時の世界的な地球環境の変動が記録されていたのです。

パネル作成:坂井 卓 九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門

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