5-06
 アジア大陸中央部に誕生したヒマラヤ・チベット山塊。それは大きな障害物となり、地球の大気の流れをさえぎり、モンスーンという季節風のシステムを生み出しました。このヒマラヤ・チベット山塊があることで、冬のシベリア高気圧は南下できなくなりました。また、チベット高原上の雪や氷がどれくらい融けるかによって、モンスーンの始まる時期が決まってきます。
 屏風のようにそびえ立つヒマラヤ山脈をかけのぼるインドモンスーンは、その南側にたくさんの雨を降らせ、反対側には乾燥したチベット高原と中央アジアをもたらしました。この気候は、人々の暮らしや文化にもおおきく影響することになったのです。

モンスーンは、季節によって風向きが反対になるシステム
ヒマラヤ・チベット山塊の雪が融けて岩盤があたたまる。
 ↓
熱源となり、上空の空気があたたまる。
 ↓
低気圧が発生。
 ↓
低気圧に向かって、南方の湿潤な風が吹き込む。
冬はこれらの逆で、高気圧から、冷たい風がアジア全域に吹き下ろします。







インド航路を発見したバスコ・ダ・ガマは、夏の南西モンスーンを利用してインドに到達し、冬の北東モンスーンを使ってアフリカに帰りました。

モンスーンがもたらす雨によって、湿潤アジアと乾燥アジアに二分されます。それが稲作文化と麦・トウモロコシのパンの文化の違いにつながっているのです。

パネル作成:酒井 治孝*・藤井理恵*・桑原義博
九州大学大学院比較社会文化研究院環境変動部門
*:現所属 京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻 地質学鉱物学教室


フレームが表示されていない場合はこちら