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 オオクビキレガイという巻貝は、細長い貝がらを持ったマイマイの仲間です。もともとは地中海沿岸に住んでいた貝ですが、現在は南北アメリカ、上海からも知られています。日本では、1988年に北九州市で初めて生息が確認されました。現在では福岡県のほか、佐賀県、熊本県、大分県、山口県まで分布が広がっています。
 原産地の地中海沿岸では、夏のこう水量が少ないために、温度の低い冬の冬眠と同じように、乾燥する夏に夏眠を行って活動を休止します。夏と冬に活動を休止する地中海沿岸やアメリカ合衆国では、オオクビキレガイは「あまり深刻でない農業害虫」と考えられています。日本では夏に雨が多く、夏眠は行ないません。最近の100年間で福岡市の年平均気温は3℃ほど高くなりました。このまま温暖化が進むと、福岡のオオクビキレガイは、夏眠も冬眠もせず、一年中野菜や花の苗を食い荒らす「深刻な農業害虫」になる可能性があります。
この100年間で、年平均気温がしだいに高くなってきています

平均気温が5℃以下になると活動しない日(■)がふえるが2006年から2007年にかけての冬はほとんど毎日活動しました。
活動した日()、活動に関する情報なし(□)

パネル作成:松隈明彦 九州大学総合研究博物館

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