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昆虫のものまね
 昆虫は生き物のなかで、もっともたくさんの種があって、それぞれにいろいろな姿をしています。昆虫はたくさんの数がいますが、みんな他の動物に食べられないように必死に努力しています。その方法のひとつが、なにかの姿をまねするという「擬態」です。いってみれば、昆虫のものまねということになります。ここでは、いくつかの擬態について紹介します。

隠蔽擬態
 昆虫の多くは植物のあるところに住んでいます。そんな植物の一部になりきるのものがたくさんいます。そうすると鳥や動物にきづかれません。まただれも食べない動物の糞に似ているものもいます。そのほか、砂地や小石のまねをする昆虫もいます。

枝や葉
コノハムシ

カレハカマキリ

コノハバッタ

エダカマキリ

木の皮
コケサシガメ(カメムシ)

ゾウムシ(甲虫)のなかま

キノハダギス(キリギリス)

鳥の糞
ゾウムシ(甲虫)のなかま

化学擬態
 アリやシロアリなどの社会性昆虫(女王、はたらきアリなどの階級がある昆虫)の巣の中にもさまざまな昆虫が住んでいます。アリやシロアリは目でなく(目はほとんど見えない)、感触や匂いで仲間どうしの交信をしています。そこで、これらの昆虫はアリやシロアリの匂いをまねることによって、巣の中に忍び込んでいます。
アリヅカコオロギのなかま

ヒゲブトオサムシのなかま

シロアリノミバエのなかま

ベーツ擬態
 ベーツという人が見つけた擬態です。毒のある昆虫や不味い昆虫に姿を似せることによって、一度そういう虫を食べて苦しんだ鳥などが、それによく似た食べられる虫も食べないというしかけです。
毒のあるベニボタル(甲虫)

それに似せたコケガ(蛾)

臭い液を出すアリ

アリに似せたシロアリ

アリに似せたキリギリスの幼虫

臭い液を出す
クビナガハンミョウのなかま

ハンミョウに似せた
キリギリスの幼虫
ハンミョウに似せた
ゴミムシダマシのなかま

ミューラー擬態
 
ミューラーという人が見つけました。ベーツ擬態とはちがって、毒のある虫が互いに姿を似せて、鳥などの敵に早く覚えさせようという擬態です。

 作成:丸山宗利 九州大学総合研究博物館
   写真:小松 貴  信州大学(Photo (c) Komatsu Takashi. 2010−2015)

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