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虫こぶは・・・
 昆虫やダニ、菌が、植物につくらせたものです。その植物がつくれないような形を、つくらせてしまいます。
 いろいろな形をしていて、いろいろな所につくられます。

葉にできる虫こぶ

実にできる虫こぶ

茎にできる虫こぶ

虫こぶをつくる虫はどれくらいいるの
 日本にいる3万種ぐらいの昆虫のうち、約1420種が虫こぶをつくります。日本にある4600種くらい植物のうち、約570種に虫こぶがしられています。


虫こぶだけで、それをつくった虫の種類がわかる
 虫こぶがつくられる植物の種やつくられる場所、虫こぶの形などは、虫こぶをつくる昆虫の種によって決まっていることが多いのです。
タブウスフシタマバエの虫こぶ
タブウスフシタマバエはタブの葉にだけに虫こぶをつくります

ブナフトツノタマバエの虫こぶ
ブナフトツノタマバエはブナの葉にだけに虫こぶをつくります

タマバチ
 虫こぶをつくるタマバチは、変わり身の達人。タマバチってどんな虫?
ハチ目タマバチ科
翅の長さは、2-7mm。

 クヌギやコナラなど、どんぐりのできる木に虫こぶをつくる場合が多いです。1年に2回、成虫がでてきます。春の虫こぶからは、オスとメスが両方でてきます。冬の虫こぶからは、メスだけがでてきます。
福岡市でふつうにいるクヌギエダイガタマバチのばあい

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タマバエ
 タマバエは、虫こぶづくりの達人。タマバエってどんな虫?


ハエ目タマバエ科
ハエというより、蚊ににています。
翅の長さは、1.5〜18mm。
成虫には、口がありません。

 おおきくなった幼虫は、ほかの虫にはない「胸骨」を持っています。

1種の植物にたくさんのタマバエが虫こぶをつくる:
                 ヨモギタマバエのばあい
 日本のヨモギには、8種のヨモギタマバエ類が虫こぶをつくります。
 1種の植物にたくさんのタマバエが虫こぶをつくるのは、ブナやヤナギなどでもしられています。

1種のタマバエが、いろいろな形の虫こぶをつくる:
                  ヨモギタマバエのばあい
 下の写真の3種類の虫こぶは、違うタマバエがつくっていると思われていました。最近のDNAをつかった研究で、ぜんぶヨモギツボタマバエがつくっていることがわかりました。
 このような例を多型現象といい、タマバエでは珍しいものです。


作成: 阿部 芳久  比較社会文化研究院・生物多様性講座・生物体系学研究室)
    三島 美佐子 総合研究博物館
    佐藤 信輔  農学研究院・動物昆虫学講座・昆虫学研究室

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