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熱帯系の珍種が普通種に:昆虫図鑑も大幅改訂!
  熱帯系のチョウの分布域の北上が止まりません。かつて(1970年代以前)は九州南部が北限だったタテハモドキは徐々に北上し、福岡県南部や佐賀平野ではほぼ定着してしまいました。かつては「珍チョウ」とされたイシガケチョウも近年、九州ではいずこも普通種となり、中国地方から近畿地方まで分布を拡大しました。
 約40年前では日本のチョウは約250種でしたが、最近出版されたチョウ類図鑑(原色昆虫大図鑑?, 2007)によると、321種が数えられ、そのうち熱帯系の種が約50種も増加しました。

イシガケチョウの分布拡大
以前は珍種だったが、現在は普通種となり、分布を拡大している。

ナガサキアゲハの分布拡大
1990年以降急速に北進し関東地方でもしばしば見かけるようになった。

タテハモドキの北進

福岡市で発生したタテハモドキ 2000年

オオヤマミドリヒョウモン (タテハチョウ科)
                    福岡への飛来


 2007年8月19日、福岡市西区にすむ中村悠一君(高校2年生)らが、福岡県糸島郡志摩町火山(標高244m)の8合目ふきんで、福岡県初記録(全国で2例目)のタテハチョウ科の1種、オオヤマミドリヒョウモン(1♀)を採集しました(九州大学伊都キャンパスのごくちかく!)。
 本種はもともと寒冷地性で年1化のチョウです。しかし、中国南部、馬祖諸島の個体群は、熱帯に適応し、その個体数を増やしつつあるそうです。やはり、本種も、近年の地球温暖化などによる飛来ルートをたどって今回日本に飛来したのではないでしょうか。

作成:矢田 脩 比較社会文化研究院・生物多様性講座・生物体系学研究室

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