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「天敵」というムシたち(1)
 わたしたちのまわりには、悪いムシをやっつけてくれる良いムシがいっぱいいます。
 その良いムシたちのことを「天敵」といいます。
 お米、イモ、野菜、果物・・・田んぼや畑で作られる食べ物は、たくさんの悪いムシ(害虫)にも食べらてしまいます。たとえば、キャベツはモンシロチョウの幼虫の大好物で、幼虫は葉っぱをもりもり食べてしまいます。


 モンシロチョウは1000個ほど卵をうみます。でも成虫のチョウになれるのは10匹にもなりません。他の生きもののエサになり食べられてしまうから.アリやクモ、それから体の中に卵を産みつける寄生バチなど・・・無事チョウになれても、カマキリやクモのエサになることがあります。

 つまり、良いムシたちがモンシロチョウ(=悪いムシ)をやっつけてくれるわけですね。チョウもふえすぎるとたいへんなので、良いムシたちに数をコントロールしてもらわないとだめ。
 自然界では多くの種類の良いムシが、1種類の害虫に集まってきて数を減らしてくれます。良い虫たちはほんとうに多種多様です。天敵という良いムシはとても種類が多いのですね。
何の仲間かわかるかな?

「天敵」というムシたち(2)
 「天敵」という良いムシたちはいろんな形で悪いムシをやっつけてくれています。日本には外国からやってきたムシが400種もいて、日本でくらすようになりました。
 外来のムシには日本に入ったあと、あっという間に数が増えて大害虫になるものがいます。外来のムシには「天敵」となる良いムシが、ほとんどいないので多く増えるのです。
 外来のムシのふるさとには「天敵」となるムシがいます。それを日本に連れてきて増やせば、農薬を使わなくても外来害虫をやっつけてくれるはず(上の図)。

レンゲ害虫アルファルファタコゾウムシ

 アメリカからやってきたアルファルファタコゾウムシはレンゲの花を食いあらすためミツバチのエサが減り、ハチミツも作れなくなった。

 トビチビアメバチの一種タコゾウムシの幼虫だけに卵を産みつける寄生バチで他の生きものには無害。
 トビチビアメバチというタコゾウムシだけをやっつけるハチをアメリカからつれてきて福岡に放しました。 するとハチは増えつづけ、ゾウムシによるレンゲへの害は減りつづけました。

最後に良いムシをふやす米作りについて紹介します。

良いムシがたくさんいる田んぼ
自然にやさしいお米作り
 多くの人たちが環境にやさしいコメ作りをしています。たとえば、悪いムシをやっつける農薬はどうしても必要ですが、使う回数をずっと少なくしています。おいしくて、安心できるお米をつくるためです。でも、そういうお米作りは、たくさんの生きものたちにとっても、も、良いことなんです。

お米は田んぼで作られ、米作りをとおして私たちは日本の風景と生きものを育んでいるのです。

良い田んぼと良いムシ
この蜂を見れば,生きものがたくさんいることと自然に優しい米作りをしていることが分かる

良いお米作りを応援してください
 自然にやさしい田んぼで作られたお米は「エコファーマー」とか「特別栽培米」という名前がついてます。そう書いてあるお米をぜひ探してくださいね。そして、良い田んぼを作っている人たちを応援してください。
 それが、良いムシや身近な生きものたちを守ることにつながっていくんです。
 さあ、お母さんといっしょにお米を買いに行ってみましょう!

良いムシで良い田んぼを探す

拡大図はこちら
副岡市近郊の田んぼに見られる良いムシたち。

 かれらの名前を知っていますか?またどういう働きをしているか知っていますか?答えはこちらをクリックしてね。

−この研究は農林水産省と共同して行っています−


上野 高敏 農学研究院・生物的防除研究施設・天敵増殖学研究室

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