九州大学の鉱物標本

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1. 自然金(しぜんきん)Native gold Au
 20×15×30 cm、資源工学及び材料工学関連標本
 鹿児島県菱刈鉱山(Hishikari, Kagoshima)。微細な氷長石と石英の結晶の集合した中に3.6 %の金を含んだ超高品位鉱石です。金は黒色の縞状部に集まっています。品位:金 36、300 g/t 銀 14,900 g/t。55 mレベル西6番、瑞泉1脈西押し(昭和63年5月鉱山採取)

   
2. 自然鉄(隕鉄)(しぜんてつ(いんてつ))
 Native iron (Iron Meteorite)  Fe
 40×30×3 cm、資源工学及び材料工学関連標本
 南アフリカ共和国(South Africa)。この自然鉄は隕石で小惑星の破片と考えられている。隕石のなかで、鉄とニッケルの合金を主な成分とするものを隕鉄(鉄隕石)という。隕鉄の切断面をみがいて酸処理すると、二種類の合金、カマサイトとタエナイトがウィドマンシュテッテン模様を示すことが多い。

3. 黄鉄鉱(おうてっこう) Pyrite FeS2
 40×40×25 cm、資源工学及び材料工学関連標本
 石川県尾小屋鉱山(Ogoya, Ishikawa)。正六面体、五角十二面体などの淡黄色結晶。硫黄化合物なかで最も広く産出する鉱物である。焼成して発生するSO2ガスから硫黄を製造し、肥料や薬品の原料とする。尾小屋鉱山は凝灰岩類を母岩とする銅・鉛・亜鉛の鉱脈鉱床である。

4. 輝安鉱(きあんこう) Stibnite Sb2S3
 50×10×20 cm、資源工学及び材料工学関連標本
 愛媛県市ノ川鉱山(Ichinokawa, Ehime)。鉛灰色の柱状結晶で、柱面に条線がある。このような結晶は、岩石の割目に熱水から沈殿・成長したものである。アンチモンの原料鉱物で、鉛とともに蓄電池や活字合金に使用される。明治の中頃に市ノ川鉱山から産した結晶は、世界的に名高い。





5. 硫砒鉄鉱(りゅうひてっこう)
 
Arsenopyrite FeAsS
 52×30×13 cm、高標本(1508)
 大分県尾平鉱山(Obira, Oita)。尾平鉱山は日本を代表する鉱物産地です。江戸時代から採掘された古い鉱山で昭和29年に閉山しました。銅、錫、砒素、銀などの鉱石を採掘しました。銀色の長柱状の結晶が硫砒鉄鉱です。透明な結晶は水晶です。この硫砒鉄鉱の標本は高壮吉鉱物標本を代表するもので、日本の代表的な鉱物標本の一つです。

6. 蛍石(ほたるいし)Fluorite CaF2
 30×30×25 cm、資源工学及び材料工学関連標本
 英国ダーラム州(Durham, England)。六面体の結晶。色は無色、黄、緑、青、紫など変化に富む。製鉄やアルミ製錬のフラックスとして利用される。冷蔵庫の冷媒(フレオン)などに必要なフッ素の原料鉱物である。英国ダーラム州やカンバーランドは、見事な結晶を産することで著名である。

7. 水晶(すいしょう) Rock crystal SiO2
 50×50×50 cm、資源工学及び材料工学関連標本
 ブラジル(Brazil)。水晶はもっとも身近にある鉱物の一つです。正式な鉱物名は石英(せきえい)といいますが,結晶の形が明らかで無色透明の石英は水晶と呼ばれています。無色透明の水晶のほか、別の鉱物の結晶をふくんでいる草入水晶・砂金水晶・鉄石英などや、水晶の結晶のなかに他のイオンが入ったり、他の鉱物からの放射線のために色の着いた紫水晶・黒水晶、ばら石英、2個の板状の水晶が84゚34'の角度で組みあった日本式双晶などがあります。水晶は古くから装飾品、宝石として利用されています。紫水晶はアメシストとよばれ2月の誕生石になっています。水晶は時計の振動子、発振子、プリズムなどを作るのに使われたり、ガラスや半導体用シリコンなどの原料となります。ここには無色透明の水晶(ブラジル)のほか、砂金水晶(韓国蔚山)、紫水晶(南アメリカ産)、ばら石英(福吉)を展示しています.

8. バラ石英(ばらせきえい)
 Rose quartz SiO2
 29×19×15 cm、高標本(467)
 福岡県福吉(Fukuyoshi, Fukuoka)





9. 黒水晶(くろずいしょう)
 Morion SiO2
 13×10×10 cm、高標本(441)
 岐阜県苗木(Naegi, Gifu)






10. 紫水晶(むらさきすいしょう)
 Amethyst SiO2
 32×23×17 cm、高標本(1602)
 南アメリカ(South America)



11. 砂金水晶(さきんすいしょう)
 Aventurine SiO2
 50×36×16 cm、高標本(483)
 韓国蔚山(Ulsan, Korea)




12. 玉随(ぎょくずい)
 Chalcedony SiO2
 15×15×8 cm、六本松標本(659)
 宮城県刈田郡小原村(Obara, Miyagi)。繊維状の隠微晶質なシリカ鉱物の結晶が集まって、球果状あるいは乳房状をなしています。半透明で脂肪光沢をもつ。あまり温度の高くない水溶液から沈殿したもので、しばしば岩石の空隙を満たして産出します。凝灰岩中などではそろばん玉のような形の玉随がみられることがあり、俗称、そろばん玉石と呼ばれています。

13. 褐鉄鉱(かってこう)
 Limonite FeO(OH)
 20×20×10 cm、六本松標本(338)
 朝鮮黄海道黄州郡兼二浦堂里 (DPRK)。表面が黒色〜暗褐色を呈した直径1 - 2 cm 程度の球果状あるいは乳房状をなして産している。断面を見ると針状の結晶が表面に向かって放射状に伸びているのがわかる。沼沢地・湖底・浅海底などで、含鉄水が酸素により、あるいはバクテリアの作用で、酸化・水和し水酸化鉄として沈殿し、また、火山地帯において湧出する鉄泉が酸化・水和し水酸化鉄として鉱泉の流路に沿って沈殿して形成される。

14. 方解石(ほうかいせき)
 Calcite CaCO3
 7×6×8 cm、高標本(652)
 埼玉県椚平(Kunugidaira, Saitama)。普通は白色や無色で、ガラス光沢を示すことが多いのですが、赤から青までさまざまな色があります。また、結晶をつくる面の組合せかたによって柱状、板状、犬牙状、菱面体などたくさんの晶相(しょうそう)がありますが、へき開が発達しているため砕いてみると皆マッチ箱を押しつぶしたような形になります。石灰岩や大理石は、ほとんど方解石からなる岩石ですが、セメントや石灰の原料として大量に採掘されています。複屈折(ふくくっせつ)を示す鉱物として有名。

15. 菱マンガン鉱(りょうまんがんこう)
 
Rhodochrosite MnCO3
 18×10×10 cm、高標本(1608)
 北海道稲倉石鉱山(Inakuraishi, Hokkaido)。もっとも一般的なマンガン鉱物のひとつ。菱形の六面体結晶として産することが多いのですが、結晶が集合して鐘乳状〜ぶどう状の集合体をつくったり、結晶が湾曲して半球状に集合して、バラのつぼみのような集合体などをつくったりします。稲倉石鉱山産のような美しいピンク色のものは宝石やアクセサリーとして広く利用されています。アルゼンチン、ペルーをはじめとする中南米で多く採掘されていたことから、インカローズ(インカのバラ)とも呼ばれています。

16. 紅柱石(こうちゅうせき)
 Andalusite Al2SiO5
 23×22×24 cm、高標本(1346)
 福岡県福吉(Fukuyoshi, Fukuoka)。ペグマタイトに産するものでは紅色柱状結晶をなすことが多く、珪長石の採掘が行われていたころは福島県、茨城県、福岡県などのペグマタイトから10 cmを超える大きな結晶を産出しました。現在では採掘されている鉱山がなく、日本では大型結晶を手に入れることはできません。紅柱石は熱につよいので耐火物を作る原料にもなり、透明な結晶は宝石に利用されます。

17. 電気石(でんきいし)tourmaline
 (Na,Ca)(Li,Al,Fe+2)(Al,Fe+3)6(BO3)3Si6O18(OH)4
 17×20×15 cm高標本(1359-3)
 福岡県長垂(Nagatare, Fukuoka)。ガラス−樹脂状光沢を持ち、色は化学組成によって大きく変化し、黒・青・緑・紅まれに白色のものも見られます。一般に柱状結晶で平行放射状集合体をつくります。加熱したり、摩擦すると静電気を生じます。美しいものは宝石として用いられることもあります。一般に、”トルマリン”として商品になっているものは鉄電気石であることが多いようです。この標本は柱状結晶の中心が紅色で外側が緑色のリシア電気石で、ウォーターメロン(すいか)とも呼ばれています。

18. 斧石(おのいし)Axinite
 Ca2(Fe, Mn, Mg)Al2 (BO3OH)(SiO3)4
 32×24×19 cm、高標本(1730)
 大分県尾平鉱山(Obira, Oita)。褐色または黄色のくさび形の結晶で、へき開があります。斧を思わせる様な鋭い結晶の形によりこの名がつけられました。花弁状、扇状、塊状などさまざまな結晶形をとります。尾平鉱山は斧石の産地としても有名で各地の博物館に展示してあります。接触変成鉱物で花こう岩または輝緑岩中の空洞、特にこれらの岩石の接触帯に産します。

19. 金雲母(きんうんも)Phlogopite
 KMg3(Si3Al)O10(F,OH)2
 15×14×4 cm、高標本(1095)
 朝鮮民主主義人民共和国砲手(Pote, DPRK)。黄褐色〜白色で通常六角板状の結晶です。へき開は底面に完全で、またへき開片は弾性があって曲げられます。苦土質石灰岩中に変質鉱物として産し、まれに火成岩中に含まれます。福岡市の海岸や河原の砂の中に黄金色に輝く砂金のようなものを見かけますが、多くはこの鉱物と同じ金雲母や風化した金雲母です。

20. 天河石(微斜長石)
 (てんがせき(びしゃちょうせき))
 Amazonite(Microcline) KAlSi3O8
 25×20×8 cm、資源工学及び材料工学関連標本
マダカスカル(Madagascar)。カリ長石の一種で、一般に白色または淡紅色である。ペグマタイトの含まれる長石は、ガラスや陶磁器の原料として利用される。緑色のものは天河石(アマゾン石)と呼ばれ、飾石に用いられる。

21. ダトー石(だとーせき)
 Datolite CaBSiO4(OH)
 25×15×10 cm、六本松標本(814)
 愛媛県久万(Kuma, Ehime)。直径0.5−1 cmの淡桃色葡萄球果状の結晶が安山岩晶洞中に散在して産している。ダトー石は、ホウ素を含むケイ酸塩鉱物であり、しばしば火山岩の空隙に沸石・方解石などに伴い、また、スカルンあるいは変成作用を受けた石灰岩中にも産する。一般には白色、無色結晶であり、桃色のダトー石は日本では愛媛県久万だけです。昭和50年前後の収集標本で現在では手に入れることができません。

22.重晶石(じゅうしょうせき)
 Barite BaSO4
  35×25×15cm、資源工学及び材料工学関連標本
 チェコスロバキア ボヘミア(Bohemia, Czechoslovakia)。厚い板状結晶。比重が4.5と大きい。日本では黒鉱鉱床に産する。主生産国の米国では層状堆積鉱床として、大きな埋蔵量知られている。石油掘削の泥水に使用するほか、胃の検診に使われる硫酸バリウムの原料でもある。

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