九州大学の海藻標本

1.海藻 画像をクリックすると詳細な図がご覧いただけます。
【緑藻類】
1. オオアミハ Struvea orientalis Gepp
 高さ約7cm、緑藻植物門ミドリゲ目マガタマモ科(原色日本海藻図鑑)、瀬川コレクション
 1936年6月9日に東京都神津島で瀬川宗吉により採取。本種の藻体は高さ20cmに達する。管状の柄の部分と卵形ないし細長い楕円形の葉状の部分からなる。葉状部は網目状なのが大きな特徴である。分布は本州太平洋岸およびインド洋。(現在の分類ではPhyllodictyon属の種と考えられている)


  
2. ヘライワズタ
 Caulerpa brachypus Harvey
 匍匐茎の長さ約15cm、緑藻植物門ミル目イワヅタ科(同上)、瀬川コレクション
 1919年6月9日に長崎県小値賀島で瀬川宗吉により採取。本科の種は根、茎、葉の3部分からなり、茎は通常匍匐する。直立する葉はリボン状ないしヘラ状で、長さ2−7cm、幅5−8mm、単条あるいは時折分岐する。分布は表日本中南部、南西諸島、マレー群島。


【褐藻類】
3. ウイキョウモ
 Dictyosiphon foeniculaceus (Hudson) Greville
 高さ20cm、褐藻植物門ウイキョウモ目ウイキョウモ科(同上)、瀬川コレクション
 1936年6月21日に北海道室蘭で神田千代一により採取。藻体は細い円柱状で、羽状あるいは互生的に数回分岐し、高さ40cmに達する。岩上あるいは他の褐藻類(ナガマツモ、カヤモノリ等)に着生する。分布は北海道、表日本北部、樺太、千島列島など。


4. チガイソ Alaria classifolia Kjellman
 高さ50cm、褐藻植物門コンブ目コンブ科(同上)、瀬川コレクション
 1928年8月23日に青森県鮫で岡田喜一により採取。藻体は分岐した付着器、茎および葉状部からなる。葉状部は幅5−20cm、長さ50−150cmに達する。胞子は茎上部から形成される‘なた豆’状の特別な葉(胞子葉=ワカメの芽かぶに相当)の上にのみ作られる。食用される。分布は北海道、本州北部。



5. ヒジキ Hizikia fusiforme (Harvey) Okamura
 高さ20cm、褐藻植物門ヒバマタ目ホンダワラ科(同上)、瀬川コレクション
 1955年4月21日に福岡県津屋崎で沢田武男により採取。藻体は繊維状付着器により岩に固着し、そこから数本の主枝を出す。主枝は1mぐらいにまでなり、主枝上には多肉質の葉と紡錘形の気胞が多数形成される。潮間帯下部から漸深帯上部にかけて大きな群落を形成する。生時は黄褐色であるが乾燥させると黒くなる。古くから食用として利用されてきた代表的な食用海藻である。近年の需要増大に伴い、養殖の試みがなされている。分布は北海道南部から沖縄まで。(現在の分類ではSargassum属の種と考えられている)
6. アカモク
 Sargassum honeri (Turner) C. Agardh
 高さ45cm、褐藻植物門ヒバマタ目ホンダワラ科(同上)、瀬川コレクション
 1954年12月に長崎県対馬で道津喜衛により採取。ガラモ場(ホンダワラ類の藻場)の代表種で、高さ5mにまで達する。1年生。藻体は仮盤状の付着器から1本の茎が直立し数mの長さになる。葉は深い切れ込みがあり、羽状様である。気胞は細長く、先端に葉と似た冠葉もつ。一部の地域では食用として利用している。分布は日本全国および朝鮮半島、中国、ベトナム。


【紅藻類】
7. ユイキリ Acanthopeltis japonica Okamura
 高さ7cm、紅藻植物門テングサ目テングサ科(同上)、瀬川コレクション
 採集月日、採集地、採集者不明。藻体は直径2−3mmの円柱状で、二叉あるいは互生的に分枝し、高さ20cmぐらいまでになる。藻体は円盤状の小枝で密に覆われ、鳥の足のようにみえるので、トリアシ、トリノアシともよばれる。テングサ類であることからもわかるように、本種も寒天の原藻として利用される。分布は表日本中南部、瀬戸内海、九州北岸、朝鮮半島。


8. トサカノリ
 Meristotheca papulosa (Montagne) J. Agardh
 高さ9cm、紅藻植物門スギノリ目ミリン科(同上)、瀬川コレクション
 採集月日、採集地、採集者不明。藻体は葉状で、不規則に掌状に分岐する。色は明るい紅色で、高さ30cm以上になる。刺身の添え物や海藻サラダとしてよく利用される。分布は表日本中南部、九州、南西諸島、台湾、フィリピンおよびインド洋。



9. ナガコノハノリ 
 Hypophyllum middendorfii (Ruprecht) Kylin
 高さ12cm、紅藻植物門イギス目コノハノリ科(同上)、瀬川コレクション
 1932年7月9-10日に北海道沙瑠瑠で瀬川宗吉により採取。藻体は長楕円形ないし長卵形で葉脈のような中肋が中央部にある。古くなると、中肋のみが残ってそこから新しい葉片が生ずる。幅1−3cm、高さ10cmぐらいまで(時に30cmに達する)。分布は北海道、樺太、千島列島、アリューシャン列島。(現在の分類では、Neohypophyllum属の種と考えられている)


10. カラゴロモ
 Vanvoorstia coccinea J. Agardh
 高さ9cm、紅藻植物門イギス目コノハノリ科(同上)、瀬川コレクション
 1955年4月10-11日に熊本県富岡(エビ網)で瀬川宗吉により採取。藻体は全体が網状の葉状体で、多数の裂片に分かれる。生時は黄褐色に近い色をしていることが多いが、乾燥させると暗赤色に変わる。分布は表日本中南部、八丈島、九州西岸からインド洋まで。



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