九州大学の植物標本

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1. シッポゴケの仲間
 Dicranum shimadae Broth.
 約20×15cm、笹岡コレクション
 コケ植物門/蘚綱/シッポゴケ目/シッポゴケ科/シッポゴケ属
 台中次高山にて島田により1925年10月9日に採集。本標本が含まれる笹岡コレクションは国内外の蘚苔類標本約200点からなります。これまでの九大標本資料の調査で上がってこなかったコレクションで、コレクションの内容や収蔵の経緯は調査中のものです。

  
2. タチハイゴケ
 Pleurozium schreberi (Brid.) Mitt.
 約20×15cm、竹内コレクション
 コケ植物門/蘚綱/シトネゴケ目/ヤナギゴケ科/ミズゴケモドキ属
 北海道から九州、北半球に分布。竹内コレクションには、主に耶馬渓から採取された数十点の蘚苔類標本が含まれています。竹内は1934年に耶馬渓英彦山地方の植物に関して2つの報告を出していますので、本標本はその調査の際に採集されたものと思われます。

3. マツバラン(ホウキラン)
 Psilotum nudum (L.) P. Beauv.
 30×42cm、竹内コレクション
 シダ植物門/マツバラン綱/マツバラン目/マツバラン科/マツバラン属
 鹿児島県薩摩田良にて1923年12月31日に竹内亮により採集(No. 5436)。樹冠に着生または北限近くでは岩隙生の多年生常緑草本。本州(宮城・石川以西)の暖地から中級、朝鮮済州島・中国南部から世界の熱帯・亜熱帯。日本人は江戸のころより好んで栽培してきたため野生のものは数が減っており、絶滅危惧II類(VU)(環境庁)に指定されています。福岡でも半数以上の自生地で絶滅しており、絶滅危惧IB類に指定されています。

4. ホソバトウゲシバ
 Lycopodium serratum var. serratum Thunb.
 30×42cm、初島コレクション
 シダ植物門/ヒカゲノカズラ綱/ヒカゲノカズラ目/ヒカゲノカズラ科/ヒカゲノカズラ属
 旧南鮮演習林(慶尚南道河東郡及山清郡)にて昭和8年6月19日−7月8日に初島住彦により採集(No. 603)。地上生常緑草本、日本全域、世界の温帯に広く分布。このヒカゲノカズラ属の植物は日本に22種が知られていますが、熱帯での研究はまだ不十分で、今後新種が見つかる可能性が高い群です。

5. タイワンイヌトクサ
 Equisetum debile Roxb. Ex Vauch.
 30×42cm、初島コレクション
シダ植物門/トクサ綱/トクサ目/トクサ科/トクサ属
 旧台湾演習林(台北州文山郡石碇庄乾溝)にて昭和7年10月28日−11月15日に初島住彦により採集(No. 452)。常緑性草本、この種は日本にはなく、中国名を台湾木賊、筆管草といいます。この標本にみえる「つくしんぼ」は胞子嚢穂(ほうしのうすい)です。春に食べるツクシは同じ属のスギナの胞子嚢穂です。

6. ソテツ Cycas revoluta Thunb.
 30×42cm、竹内コレクション
 種子植物門/裸子植物亜門/ソテツ綱/ソテツ目/ソテツ科
 鹿児島県肝屬郡佐多村にて1907年10月6日にK. Yoshinoにより採集(11281)。常緑低木、九州(宮崎県以南)・琉球、台湾・中国大陸南部に分布。暖地では植栽されるので九州ではよくみかけますが、野生の自生地はごくまれです。

7. イチョウ Ginkgo biloba L.
 30×42cm、中島コレクション
 種子植物門/裸子植物亜門/ソテツ綱/イチョウ目/イチョウ科
 筑前福岡市別府にて栽培されていたものを1937年4月24日に中島一男が採集(No. 5139)。落葉高木、中国原産で室町時代より日本で植栽されたといわれています。雌雄異株で、この標本は雄株です。
8. コウヨウザン(広葉杉) 
 Cunninghamia lanceolata (Lamb.) Hook.
 30×42cm、中島コレクション 
 種子植物門/裸子植物亜門/マツ綱/イヌマキ目/スギ科
 筑後八女郡原田植物園にて栽培されていたものを1929年に中島一男が採集(No. 7948)。中国原産の常緑高木で、江戸時代以降に植栽されるようになりました。この標本が採られた「原田植物園」は、八女の種苗業・原田万吉が運営していた「九州博物研究会学術植物園」のことです。原田は九州各地で頻繁に講習会を開き、牧野富太郎など著名な植物分類学者もたびたび福岡に招聘しました。原田の精力的な働きは、当時の北部九州の植物相研究を支えるとともに、研究者の育成に貢献しました。

9. フジバカマ
 Eupatorium japonicum Thunberg.
 30×42cm、中島コレクション
 種子植物門/被子植物亜門/双子葉植物綱/合弁花亜綱/キキョウ目/キク科/ヒヨドリバナ属 
 福岡市福岡大濠公園にて昭和9年10月11日に中島一男により採集(No. 9190)。川の堤防などにはえる多年草。本州(関東以西)から九州、朝鮮・中国に分布。古い時代(奈良時代)に朝鮮か中国から伝来したものが帰化したのだろうと考えられています。秋の七草のひとつとして知られていますが、全国的に数が減っており、絶滅危惧II類(VU)に指定されています。この標本が採られた大濠公園は、福岡での唯一の産地記録でしたが、公園整備に伴い姿を消し、現在福岡では絶滅したと考えられています。

10. カワラサイコ
 Potentilla chinensis Ser.
 30×42cm、福岡県植物研究会コレクション
 種子植物門/被子植物亜門/双子葉植物綱/離弁花亜綱/バラ目/バラ科/キジムシロ属 
 福岡市西区にて1996年7月8日に筒井貞雄により採集(No. 37812)。日当たりのよい川原や砂地に生育する多年草。北海道−九州、朝鮮・ウスリー・中国に分布。福岡では近年減少傾向にあり、絶滅危惧IB類(福岡県)に指定されています。

11. ヒメビシ
 Trapa incisa Shieb. Et Zucc.
 30×42cm、中島コレクション
 種子植物門/被子植物亜門/双子葉植物綱/離弁花亜綱/フトモモ目/ヒシ科/ヒシ属
 筑前古賀にて昭和11年9月13日に中島一男により採集(No. 8380)。池に生える1年草で花はうす桃色。北海道−九州、朝鮮・ウスリー・中国(東北・台湾)に分布。福岡県では1980年代まで生育が確認されていましたが、その後絶滅したと考えられています。

12. バニラ Vanilla planifolia
 30×42cm、金平コレクション
 種子植物門/被子植物亜門/単子葉植物綱/ラン目/ラン科/バニラ属 
 セイロンのパラデニヤ(Paradeniya、 CEYLON)にて1921年10月に金平により採集。つる性の草本でメキシコ南部、西インド諸島原産。この標本は、金平が九大に赴任する前に勤めていた旧台湾総督府研究所時代に採集されたものです。この時代の標本は南洋群島のコレクションとは別の標本箱に入れられており、それぞれの引き出しに「有用」「薬用」「珍奇」・・などなどのラベルが貼られています。このバニラの標本は「香料」の引き出しにありました。80年以上経った今でも、標本からほんのりと甘い香がしてきます。

13. タコノキの仲間
 Pandanus polycephalus Lam.
(瓶入り果実標本):直径約5cm、金平コレクション
被子植物門/単子葉植物綱/タコノキ目/タコノキ科/タコノキ属
 ラバウルの植物園(Botanical Garden、 Rabaul、 T.N.G.)にて1937年2月3日に採取。

14. タコノキの仲間
 Pandanus sp. (‘Arowan’)
 直径約40cm、金平コレクション
 被子植物門/単子葉植物綱/タコノキ目/タコノキ科/タコノキ属
 Mokielにて1937年3月12日に採取。乾燥前の重量は11.6kg。常緑小高木。タコノキ属の植物は、アフリカ、アジア、太平洋諸島の熱帯に広く分布し、600種ほど知られています。日本では、トカラ列島以南にアダン、小笠原にタコノキが分布しています。金平はタコノキ科植物をとても気に入っていて、九大には多くの果実標本が残されています。ここでは同じ属でも果実の大きさが異なる2種類をあげてみました。これらの大きさは非常に異なりますが、形は良く似ていることがわかります。他にも大きさや形が異なる種類が様々にあります。

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