九州大学の生薬標本

 薬学研究院において研究・教育用に活用されてきた生薬標本です。本博物館に収蔵されている約1200点の標本の中から、今回は日本薬局方に収載されている主要なものから現在では入手が困難な貴重な標本までを展示しています。生薬は、動植物の薬用とする部分、細胞内容物、分泌物、抽出物または鉱物などで、第14改正日本薬局方においても100種類以上の生薬が収載されています。滋養強壮を目的に広く利用されている朝鮮人参や下剤に配合されている大黄、香料としても有名な麝香、大型哺乳動物の化石である竜骨など動植物のさまざまな部位が利用されています。また、これら生薬の中から純粋な化合物が単離され、医薬品として利用されているものも少なくありません。モルヒネ、グリチルリチンなどが代表的な生薬由来医薬品です。このように、生薬は私たちの身の回りから先端医療に至る幅広い領域で有効に活用されており、これら生薬は私たちの祖先が日々の営みの中から見出してきた貴重な知的財産と言えるのではないでしょうか。

総合研究博物館薬学分館

画像をクリックすると詳細な図がご覧いただけます。

フレームが表示されていない場合はこちら