3. 九州大学の昆虫標本

 九州大学には400万点を超す昆虫標本が収蔵されており,文献資料とともに国内最大の昆虫類の参照コレクションとなっています.これらのコレクションは80年以上にわたる大学の歴史の中で築かれたもので,このような長い間,歴代のスタッフが一貫して標本や文献の収集ならびに維持管理をしてきた労力は並大抵のものではありません.このように積み上げられた資料は,他の大学,研究機関にはもはや真似のできない九州大学最大の財産といっても過言ではありません.
 九州大学には広い意味での昆虫学を専攻する研究者が20名以上在籍しますが,標本を使った研究を行なっている研究室は,農学研究院昆虫学教室ならびに彦山生物学実験施設,比較社会文化研究院生物体系学教室,熱帯農学研究センタ−,総合研究博物館で,コレクションは,現在,それぞれの研究室に分散して保管されています.九大昆虫コレクションの特徴は,国内のみならず,アジア−太平洋地域の種を含み,とくに,カメムシ,コウチュウ,ハエ,チョウ,ハチといった昆虫の5大分類群をカバーしていることです.このコレクションをもとに,これまで九大関係者によって発見された昆虫の新種は1,000種を超し,アジア−太平洋地域の昆虫相解明に大きく貢献してきています.現在でも,スタッフや院生・学生がアジア各国へ調査に出かけ,毎年1万点以上の標本が追加されており,研究材料として学内のみならず,国内外の研究者に広く利用されています.

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