縄文時代以来私たち日本人は、植物と共に生き、植物を愛おしむ文化を育んできました。例えば万葉集では、その4割が植物を歌ったものです。



このうちの1つフジバカマは、源氏物語にも登場しています。
香りがよく、干したものは「蘭(あららぎ)」と呼ばれ、香草として使われていました。このフジバカマに近縁なヒヨドリバナも、万葉集で歌われています。

この歌には、夏なのに秋の葉のように黄色くなっていたという説明が加えられています。

この歌は、ウィルス感染による葉の黄化症状を記述した、世界最古のウィルス感染の記録とみなされています。


万葉集にはこの他に、157種類の植物が登場しています。これらの多くは里山や里地の植物であり、今日私たちが花屋で見ることができるようなものは、あまりありません。当時の人たちが、身近な植物をいかに愛おしんでいたかがわかります。


パネル作成者: 矢原 徹一(理学研究院生物科学部門)