ようこそ「倭人伝の道と北部九州の古代文化」展へ


 九州大学には、大学院人文科学研究院考古学研究室と六本松地区図書館が、それぞれ考古資料を保存しています。後者は旧玉泉館収蔵考古資料で旧制福岡高等学校教授玉泉大梁が蒐集したものです。前者は、1958年に文学部に考古学研究室が設置されて以降、鏡山猛教授や岡崎敬教授らが発掘調査した資料、あるいは考古学研究室設置以前の国史学研究室所蔵考古資料から成り立っています。また、考古学研究室には、九州考古学の草分けである中山平次郎九州帝国大学医学部教授の考古資料が寄贈されています。さらに形質人類学者の金関丈夫医学部教授が調査した考古資料も収蔵されています。
 とくに考古学研究室の発掘資料や収集資料は、九州の標識遺跡の資料が大半であり、学史的に貴重な資料です。収蔵されている資料には、重要文化財などもありますが、何よりも生きた九州考古学の歴史あるいは大陸との交流史を学ぶ資料となっています。中山平次郎、鏡山猛、岡崎敬など九州大学の先人が築いた考古学を理解できるとともに、今日においても失われていない資料的な価値の高さを知っていただけるものと思います。『魏志』倭人伝に記された世界や、北部九州の古代文化、さらには大宰府や鴻臚館といった、大陸に開かれた北部九州の古代を考古資料からお楽しみください。

平成16年度九州大学総合研究博物館公開展示実行委員長
宮本一夫