倭人伝の道
2-12 奴国
 いたづけ
 板付遺跡
 福岡市博多区所在の弥生時代開始期から後期にわたる複合遺跡。
 1951から54年にわたり、日本考古学協会・福岡県教育委員会合同の調査が、「弥生時代はどのように始まったのか」という問題の解決のため行われました。この調査で、貯蔵穴と考えられる土坑群や、それらを区画する断面V字状の溝などが検出されました。
 この遺跡から出土した板付式土器は、縄文時代の土器の様相を色濃くのこす夜臼式土器と共伴し、弥生時代最古の土器として認定されました。また、出土した炭化米によって、弥生時代のはじめから、すでに稲作が行われていたことが確認されました。紡錘車(ぼうすいしゃ)の出土も、初期の機織りを推測させる貴重な資料となりました。その他、各種石器(柳葉形石鏃・扁平片刃石斧・石包丁など)が出土し、弥生文化の源流が朝鮮半島と関係することが明らかとなりました。

板付遺跡周辺地形図
(杉原荘介編1961「福岡県板付遺跡」『日本農耕文化の生成』より)
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板付遺跡遠景
(杉原荘介編1961「福岡県板付遺跡」『日本農耕文化の生成』より)

区画溝
(杉原荘介編1961「福岡県板付遺跡」『日本農耕文化の生成』より)

作成者:田尻義了(九州大学大学院比較社会文化研究院)
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