倭人伝の道
2-4 一支国
 カラカミ遺跡
 長崎県壱岐市勝本町所在の弥生時代中・後期の集落遺跡。1952年の東亞考古学会による調査で貝塚が確認されました。次いで1977年3月と同年7月の2回にわたり、九州大学考古学研究室で発掘調査をおこないました。本調査ではさらに5本のトレンチを設定しました。そのうち第7トレンチ下層から貝層を検出し、多数の遺物も出土しました。この部分は環濠の可能性が考えられています。
 出土遺物には弥生土器・陶質土器・鉄製品・青銅器・アワビ起こしや卜骨(ぼっこつ)片などがあげられます。そのうち卜骨片は鹿やイノシシの肩胛骨を用いたもので、日本における卜占風習を考える上で貴重な資料を提供しました。卜骨とともに、陶質土器は朝鮮半島との繋がりを、充分に示唆するものです。鯨骨製アワビ起こしは、当時の漁労活動を考察する上で重要な発見でした。この遺跡の調査で、朝鮮半島との交流・島嶼遺跡における漁労活動などが明らかになりました。

カラカミ遺跡周辺地形図
(木村幾多郎1979「長崎県壱岐島出土の卜骨」『考古學雑誌』第64巻第4号より)

完掘状況

土器出土状況

作成者:田尻義了(九州大学大学院比較社会文化研究院)
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