倭人伝の道
2-8末盧国
 なかばる
 中原遺跡
 佐賀県唐津市大字中原に所在する遺跡。
 第1次日仏合同調査の一環として、1965年に発掘調査が行われました。甕棺墓群のあった第1トレンチ、砂丘形成の状況を観察するための第2トレンチが調査されました。第1トレンチ内からは、2・3・4・5・7号の5基の甕棺、5号甕棺を壊して古墳時代後期につくられた石組遺構が検出されました。甕棺は弥生時代中期に属するものです。4・5・7号甕棺からは玉類が出土しました。特に5号甕棺からは碧玉(へきぎょく)製の管玉が7点と硬玉(こうぎょく)製の勾玉(まがたま)が出土しました。また、7号甕棺の中に鉄戈(か)が1点、甕棺の外側に鉄矛1点の副葬がありました。弥生時代の甕棺に鉄戈・鉄矛が伴う例として注目されます。その後、佐賀県と唐津市による調査でも甕棺墓や細形銅矛・青銅器の鋳型(いがた)・石製把頭飾(つかがしらかざり)・破鏡・青銅製鋤(すき)先・鐸(たく)形土製品等が発見され、弥生時代の中核的遺跡であることが分かりました。
中原遺跡遺構配置図
(橋口達也「中原遺跡」『末盧国』〔本文編〕唐津湾周辺遺跡調査委員会より)

7号甕棺出土状況

作成者:谷直子(九州大学大学院人文科学府)
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