古墳時代の北部九州の諸豪族
3-8
 はなみ
 花見古墳
福岡県古賀市久保字花見所在。
 砂丘下から発見された古墳で、円墳と考えられますが、墳丘形態や規模等は破壊されていたため詳細は不明です。内部主体は西向きに開口する横穴式石室で、1955年に鏡山猛らによって調査が行われました。横穴式石室は単室で、玄室(げんしつ)の規模は南北2m、東西3mで長方形を呈しており、これに長さ1.5m、幅1m弱の羨道(せんどう)が付属しています。石室内には礫(れき)が敷き詰めてあり、羨門部(せんもんぶ)は扁平な石2枚で閉塞(へいそく)していました。副葬品は主に石室の羨門側に置かれていましたが、石室天井の一部崩壊のため攪乱(かくらん)されており原位置は保っていませんでした。石室内からは、耳環(じかん)などの装身具類、鉄製大刀・鉄鏃などの武具類、轡(くつわ)・杏葉(ぎょうよう)・雲珠(うず)などの馬具類、また銅鋺(どうわん)や金銅装刀子(こんどうそうとうす)が出土しています。石室外では、須恵器はそう・提瓶(さげべ)・高杯や土師(はじ)器高杯などが出土しています。これらの出土遺物から、花見古墳の築造時期は6世紀中葉と考えられます。
 副葬品の中でも特に鍛造(たんぞう)の銅鋺や金銅装刀子は、出土例が少ないことからも注目されます。

花見古墳位置

花見古墳石室実測図(鏡山猛(1959)「福岡県糟屋郡花見古墳」『日本考古学年報』8.

作成者:小田裕樹(九州大学大学院比較社会文化学府)
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