魚は、細菌やウイルスがたくさん含まれる水中で生きています。また、人間とは異なり、体温が環境水温によって変化します。このような特殊な状況下でも魚は絶滅することなく、病原体との戦いに打ち勝ってきました。なぜでしょうか?

 魚の免疫システムの設計図、つまり遺伝子DNAの塩基配列を解読していくと、その謎が解けてきます。
 これまでに、魚には殺菌タンパク質(補体)の遺伝子を人間よりも多く持っていることがわかりました。また、細菌を捕らえて動けなくするタンパク質(レクチン)も魚に存在します。現在、フグとゼブラフィッシュの遺伝子全体(ゲノム)を解読する国際共同研究が進められており、解読が終われば、魚が数億年という長い年月を生き抜いてきた秘密が明らかになるかもしれません。


作成者 矢野友紀 やのともき (農学研究院生物機能科学部門)