過去10万年間の気候変動 〜プランクトン群集を用いた古環境復元〜(1)
Climate changes during the last 100 kyrs deduced from plankton records.

 地球温暖化をはじめとした、気候変動への関心が高まる中、現在の地球環境の理解と過去の地球の気候変動の把握が必要とされています。
 このパネルでは過去10万年間程度の気候変動を中心に、そのメカニズムと、気候変動解明のための一つのアプローチとして、海底堆積物中のプランクトン群集を用いた研究の例を挙げていきます。

気候変動のメカニズム(ミランコヴィッチ周期)

 温暖な白亜紀が終わり新生代にはいってから、地球の気候は寒冷化が始まりました。300万年前からその傾向は強まり、265万年前以降、北半球においても大規模な大陸氷床が形成されました。この頃から温暖期、寒冷期の周期がみられるようになり、その振幅は次第に大きくなっていきました。

 200万年前以降の周期は、歳差運動、離心率、地軸傾斜の3つの天文学的要素の変動から説明できます。そして、62万年前以降、10万年の周期を持つミランコヴィッチ周期が確立し、地球の気候は氷期・間氷期を繰り返しています。


 ミランコヴィッチ周期の中にはダンスガードオシュガー周期やハインリッヒ周期として知られる2〜3千年の短い周期の気候変動も発見されていますが、その詳しいメカニズムは天文学的には説明できず、まだよくわかっていません。

離心率

 地球の公転軌道は、常に円ではなく、離心率が0.01〜0.05までの楕円軌道です。このため、地球と太陽の距離が変わるため太陽の日射量が変動します。また、その周期はおよそ10万年です。ミランコヴィッチ周期では、この影響が強いです。

地軸傾斜

 地軸の傾きは現在およそ23.4°ですが、この傾きは22°〜24.5°で周期的に変化します。傾きが大きくなると夏・冬の差が激しくなります。また、その周期は4万1千年です。

歳差運動

 地軸が黄道面に対して傾いているため、地球は、倒れかけのコマのような運動2万1千年の周期でしています。このため現在は北半球が冬至の時に太陽と地球間の距離が最も近くなりますが、1万年ほど後には夏至の時に最も近くなります。よって、北半球の夏は現在より暑くなると考えられます。

パネル作成者: 高橋孝三、岡崎裕典、朝日博史、吉谷洋、松下貴誉加(九州大学理学研究院地球惑星科学部門)

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