今年度オープンした常設展示室
 
 平成5年から、大学資料館設置の学内での検討が始まり、数々の検討を経て、平成13年4月、鹿児島大学総合研究博物館が省令に基づく7番目の国立大学博物館として発足しました。また、平成16年5月には常設展示室を開設しました。教員は5名。

  

常設展示
 1階は歴史と文化、2階は自然をテーマにしています。1階でひときわ目をひくのが、理化学機器類です。明治末から昭和期にかけて実際に使われていたもので、レトロな機器好きにはたまらない逸品達です。
 また2階に展示されている金鉱石マップは、2002年の特別展「地球からのめぐみ-金-」で展示されたもので、全国の金山と産出する金鉱石がわかりやすく日本地図の上と周囲に配置されています。

理化学器機の展示
博物館の積極的な呼び掛けで、全学から質のよい
資料が集まった。
好評を博している金鉱石マップ



特別展示
 毎年10月下旬から11月下旬にかけて、鹿大で教育・研究に使われた資料を展示しています。
   2001年 古代からのおくりもの-鹿大に眠る遺跡-
   2002年 地球からのめぐみ-金-
   2003年 海と生命の歴史-化石は語る
   2004年 機器は語る-教育と研究の百年史- 開催中!
   2005年 民族植物学に関する展示を予定

 これまででは、2003年の化石展示が特に好評を博しました。この展示をきっかけに、化石を実際に触りたい、掘ってみたい、という要望が寄せられ、その後のイベント企画へのつながりを見せているということです。

植物標本庫内の様子
旧ボゴール式のブリキ缶に納められている

 134万点を越える学術標本・試料が集積されています。特筆すべき収蔵品は、九州・南西諸島・東南アジアの植物さく葉標本約14万点、重量4tで日本最大級のものをはじめとする金鉱石コレクション、そして古墳時代集落出土考古資料、牛馬を中心とする脊椎動物の骨格標本などです。

 今年5月にオープンした常設展示室は、昭和3年に造られた鹿児島高等農林学校図書館書庫を改修したもので、創建当時の雰囲気を残すように心がけて改修されています。もとになった書庫は、昭和20年の空襲を免れ、その後、高等農林学校時代の建物が次々と姿を消す中で唯一残った建物で、この展示室自体が鹿大の歴史を物語っています。

記念式典の様子


考古展示エリア
大学構内出土品は、南九州の遺物上重要な位置を占める貴重なもの

 博物館本館は九大博物館と同様に仮住まいの状態です。やはり収蔵場所には苦労しており、全学的な協力によって新規に見出された標本・資料・機器類は、当面各部局内で保存してもらっています。
 鹿大博物館は、単なる大学内施設として博物館を位置づけるのではなく、鹿児島県全体を「大きな博物館」とみなし、市民や自治体を大きくとりこんだコンセプトの活動「鹿児島フィールドミュージアム」を展開しています。日本の古代史・近代史の重要な文化遺産を多数保有しているという土地の利と、フレンドリーで暖かい県民気質のおかげで、この活動は大いに成功しています。



 市民講座研究交流会公開講座自然体験ツアーなど、毎月1つは何かしらの市民参加型のイベントがあり、充実しています。特に研究交流会は、最近学内からの提案が増え、数回先まで予定が決まっているということです。うらやましいですね。

自然探検ツアー(年1回)

2004年の「指宿植物試験場たんけん」の様子

  2003年 甲突川の自然環境と防災
  2002年 なぎさの自然
  2001年 甲突川流域の自然と生活

研究交流会(年3回)
テーマをもとに、学内外の研究者が講演をおこないます。例えば・・・

  2004年 鹿児島から太古の地球を考える
  2003年 弥生時代の新しい見方
  2002年 アジアのなかの近世陶磁器

市民講座(年2回)
さまざまな研究分野のトピックをやさしく紹介します。例えば・・・

  2004年 大学博物館へのいざない
  2003年 三葉虫が見た海の世界
  2002年 川の自然と防災−平成5年豪雨災害から10年−
 鹿大博物館は、ボランティア活動が大いに成功している博物館の1つです。特に「ボランティア活動をとおして人を育てる」ということを大切にしており、私たちも是非見習いたい点です。ボランティアの組織はあえてつくらず、展示やイベントのつど募る形式をとっています。リピーターも多いとのこと。そのなかからさらに資料整理等を行うボランティアが生まれています。

地元植物研究家が標本整理をサポート

プロによるコンサートもボランティアで催されている

作成者:九州大学総合研究博物館 三島美佐子
リンク:鹿児島大学総合研究博物館
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