■北部九州の甕棺墓の弥生人■

 佐賀県の三津永田遺跡での出土を皮切りに、現在まで北部九州各地から数千体に上る人骨が出土している。時代は弥生時代中期を中心に前期末から後期にかけてのもので、顔面の著しい高顔性と扁平性、それに高身長を特徴とする。縄文人との形態的距離は、土井ケ浜など響灘沿岸の弥生人よりも大きく、様々な朝鮮系考古遺物の多さなどからも、渡来系弥生人の分布中心域と見なされている。近年、この甕棺墓の弥生人の中にも少し地域差のあることがわかり、今のところ、筑紫野・小郡市一帯から出土する弥生人が、最も縄文人とは遠い、いわば典型的な渡来系弥生人の特徴を持った集団と考えられている。

(●:甕棺墓の弥生人)


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