■渡来人のルーツ■

 われわれ日本人の形成に大きな役割を果たしたとされる渡来人は、どこからやって来たのだろうか。


 古代中国の黄河流域、山東半島あたりには、新石器時代の昔から、高身長で、面長、扁平な顔つきの、日本の渡来系弥生人に似た特徴の人々が広く居住していたことがわかっている。さらに近年の調査によって、日本の稲作文化の源流とされる揚子江下流域(江南地方)でも、遅くとも春秋戦国期以降は、同形質の人々が分布していた可能性が新たに浮上してきた。ただ、地理的な近さ、考古遺物などから窺える北部九州との密接な関係、さらには禮安里古墳出土人骨の研究結果などからみて、朝鮮半島ルートが主要な役割を果たした可能性が高い。大陸の古代の住民にはまだまだ不明な点が多く、今後の研究進展が待たれる。


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