■埋葬人骨にみる葬送儀礼■

 現代でも墓に人を葬るとき、お祈りやお供えをするだろう。同様に、原始古代でもさまざまな儀礼を行っている。そして、その儀礼が遺体の取り扱いにまで及ぶことがある。


 図は、古墳時代の例であるが、墓に埋葬した後、遺体が骨だけになった数年後に、もう一度蓋を開け、右膝蓋骨(膝の皿の骨)だけを足下ヘ持っていき、その上と顔のそばに瓜を置いている。
 この儀礼は、『日本書紀』に書かれた「黄泉戸喫(よもつへぐい)」に関連する「死の認定」と再生阻止の儀礼と考えられている。

ひざの皿(膝蓋骨)をはずされた
大分県上ノ原48号横穴墓人骨

(田中・村上 1994より)


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