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VI.炭酸塩鉱物(2)

65. 霰石
Aragonite CaCO
3
産地 長野県平村/長野県鹿塩/島根県松代鉱山1

平村霰石は温泉の沈澱物として産したもので,魚卵状を呈する.灰白色あるいは淡黄色で,径は2〜3mmである.
鹿塩産は蛇紋岩の破片を膠結し,2〜4cmの厚さの層状をなしてこれをおおっている.表面は淡赤褐色で,腎臓状を呈し,内部は濃淡ある褐色の累帯をなす.
松代鉱山は,短柱状結晶の集合体よなりる球塊が数個集ったもので,球塊の径は5〜10cmである.結晶はc (001),m (110),k (011),b (010)面よりなる個体が貫入3連晶をなし,径は1.5cm程度のものが多い.大部分は淡緑色あるいは淡紫色,透明ないし半透明であるが,一部は無色透明である.産地では天然記念物に指定されている.

66. 毒重石
Witherite BaCO
3
産地 秋田県発盛鉱山(旧椿鉱山)
発盛鉱山毒重石は黒色頁岩中に含まれ,2mm以下の粒状あるいは6角柱状の形態を示す.これは,斜方晶系の結晶が(110)を双晶面とする貫入3連晶をなすためである.無色透明ないし白色半透明で,ガラス光沢を有するが,断口は樹脂光沢を示す.

67. ストロンチアン石
Strontianite SrCO
3
産地 大分県別府
別府ストロンチアン石は,安山岩質岩石の表面に径1mm前後の小球の集合体をなす.白色あるいは灰色あるいは灰白色,半透明である.

68. 白鉛鉱
Cerussite PbCO
3
産地 朝鮮黄海道甕津鉱山
甕津鉱山白鉛鉱は方鉛鉱と共出し,その二次的生成物である.b (010)を主面とする板状結晶で,m (110),i (021),p (111)の小面を伴う.貫入3連晶をなすものも見られる.{110}に著しい劈開がある.白色半透明で,ガラス光沢を有し,長さは最大1cmに達する.

69. 孔雀石
Malachite Cu
2(OH)2(CO3)
産地不明
孔雀石は3標本あるが,いずれも産地不明である.ときに針状微結晶の放射状集合体で,径1cm程度の球状をなし,濃緑色で,絹糸光沢を有する.また繊密な塊をなし,表面は腎臓状を呈するものは濃緑色の部分と淡緑色の部分があるが,ともにガラス光沢を示す.さらに石英塊の表面にぶどう状あるいは土状をなし,表面は濃緑色,内部は淡緑色であり,光沢はほとんどないものも存在する.

70. 藍銅鉱
Azurite Cu
3(OH)2(CO3)2
産地不明
藍銅鉄(産地不明)は孔雀石と共出し,1mm程度の柱状結晶の集合体をなす.濃藍青色,透明ないし半透明で,ガラス光沢を有する.

71. テンゲル石
Tengerite CaY
3(OH)3(CO3)4・3H2O(?)
産地 福島県飯坂
飯坂テンゲル石は白色粉状であって,長石中にざくろ石および石膏とともに含まれ,割れ目あるいはこれらの鉱物の間隙をみたしている.結晶は明瞭でないが,部分的に卓面あるいは短柱面が認められる.外観は白色火山灰あるいは珪藻土に似ているが,稀塩酸により発泡し分解する.

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