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VII.珪酸塩鉱物(3)

91. ざくろ石
Garnet


(a) 鉄礬ざくろ石
Almandine Fe
3Al2(SiO4)3
産地 福島県石川山/茨城県山の尾/長野県和田峠/奈良県穴虫


(b) 灰礬ざくろ石および灰鉄ざくろ石
Grossular and andradite Ca
3(Al, Fe)2(SiO4)3
産地 岩手県釜石鉱山/福島県戸倉/山口県上保木/山口県於福鉱山/福岡県柳浦/福岡県磁石山/福岡県三の岳/大分県木浦鉱山/大分県尾平鉱山


(c) 満礬ざくろ石
Spessartine Mn
3Al2(SiO4)3
産地 愛知県小山田/愛知県幡豆


(d) クロムざくろ石
Uvarovite Ca
3Cr2(SiO4)3
産地 熊本県猫谷

ざくろ石の標本は40個に及び,結晶面も良好な発達を示すものが多い.その形態は,d (110)面から成る斜方12面体型,n (211)面から成る偏菱24面体型,およびn ,d 面ともに発達する集晶型に大別される.なお,ざくろ石は種々の固溶体を形成するが,灰礬ざくろ石と灰鉄ざくろ石は産状,色等がよく似ているので,肉眼的に区別することが困難である.ここでは次のように4つの系列にまとめた.

(a) 鉄礬ざくろ石
石川山産のざくろ石標本は10個を数え,その多くは,n 面から成る24面体結晶である.またまれに,d 面もかなり良く発達するものも認められる.結晶はいずれも黒色に近く,小さいもので径2cm,大きいものは径8cmに達する.
山の尾産は白雲母を伴い,ほぼ完全な偏菱24面体をなす.径1cm,黒褐色を呈する.
和田峠産には,安山岩中に径1cm以下の鮮かな赤褐色結晶が見える.n ,d 両面の集晶であるが,ときにd 面の発達が弱く,n 面を主としており,この場合n 面に明瞭な条線が認められる.
穴虫産は雲母安山岩およびその捕獲岩中に含まれていた結晶で,赤褐色を呈し,径1mm程度の粒状をなす.

(b) 灰礬ざくろ石および灰鉄ざくろ石
釜石鉱山産ざくろ石はn の小面を伴う12面体型結晶で,磁鉄鉱,緑簾石と共出する.
径1cm以下の赤褐色の小結晶である.
戸倉産はn ,s (321)の小面を伴う12面体型結晶で,大きさは最大径8cmに達する.結晶面はガラス光沢を有し,鮮かな赤褐色を呈する.
上保木産は典型的な斜方12面体型結晶である.大きさは最大径3cmに達し,暗緑褐色を呈する.
於福鉱山産は12面体型で,径5mm程度の褐色小結晶である.
三の岳産は珪灰石,方解石と共出する径2mm程度の褐色,12面体型小結晶である.
磁石山産は典型的な12面体型結晶で,径12cmに及ぶ褐色大結晶である.
柳浦産は典型的な偏菱24面体型結晶である.黒褐色で,最大径3cmに達し,結晶面に弱い条線が認められる.
尾平鉱山産は赤ないし黒褐色の12面体型結晶で,n の小面を伴う.径1〜1.5cm,d 面上に多数の菱形面が重って,いわゆるローズ形rosetteを呈し,平滑さを欠く場合がある.
木浦鉱山産はn 面を伴う12面体型結晶で,黒色を呈し,径は1cmに達する.

(c)満礬ざくろ石
小山田産および幡豆産の満礬ざくろ石は,ばら輝石と共出する黄褐色結晶で24面体型に属し,稀にd の小面を伴う.いずれも径1〜1.5mmの小結晶である.

(d)クロムざくろ石
猫谷産クロムざくろ石は,クロム鉄鉱に伴う微粒の集合体をなし,鮮かなエメラルド緑色を呈する.

92. 橄欖石
Olivine (Mg, Fe)
2SiO4
産地 朝鮮砲手鉱山
砲手鉱山産橄欖石は石灰岩またはドロマイトの接触変成帯に産したものと推定される.蛇紋岩化が進んでおり,結晶面は明確でないが,b (010)面が発達した板状結晶で,c (001),s (120),e (111)面も認められる.大きさは板径2.5cm,厚さ5mmである.

93. ベスブ石
Vesuvianite Ca
10(Mg, Fe)2Al4(SiO4)5(Si2O7)2(OH)4
産地 埼玉県秩父鉱山/神奈川県箒沢/大分県木浦鉱山
秩父鉱山産ベスブ石は径4cm,長さ7cmの大きな単結晶で,黄緑色を呈する.結晶面は風化により平滑さを欠くが,a (100),m (110),p (111)面からなる短柱両錐状結晶である.
箒沢産は典型的な錐状結晶で,p (111)面の発達が著しく,c (001),e (101),a (100),s (311)の小面が伴う.褐色を呈し,径1.5cm,厚さ7mmの扁平な結晶で,ガラス光沢を持つ.
木浦鉱山産は石灰岩の接触変成帯に産した柱状結晶で,褐色ないし黒褐色を呈し,やや緑色を帯びる.大きさは最大柱径1.5cmに達するが,径5mm,長さ2cmが平均的で,小結晶は放射状配列をなす.同鉱山産ベスプ石についての中島(1917)の研究によれば,18種の面が知られているが,このうちa (100),m (110),f (120),c (001),p (111),e (101),i (312),u (201),θ (113)の諸面が認められる.結晶は多くの場合a ,m ,p ,c 面から成る長柱状で,まれにf ,e ,i ,u ,θ 面が伴い,短柱状となる.

94. ジルコン
Zircon ZrSiO
4
産地 福島県飯坂/台湾馬武督
飯坂産ジルコンは,褐色半透明,ガラス光沢を有する0.5mm以下の微小結晶である.花岡岩中のものと考えられる黒雲母片を伴っている.結晶面は,p (111),a (100)面を主とするが,m (110),A (701)面も認められる.また彎曲面をもつ結晶も見出される.
馬武督産は,帯紅褐色ないし淡褐色,半透明ないし透明な,1〜5mmの粒状結晶である.河砂中より採集された標本であって,稜および面ともに磨耗され円味を帯びている.晶相は不明瞭であるが,p ,a ,m 面などが認められる.

95. 苗木石
Naegite
産地 岐阜県苗木
苗木石はジルコンの変種で,Y,Nb,Ta,Th,Uなどを含み,メタミクト化している.
苗木産は,錫石の漂砂鉱床中のもので,褐黒色ないし濃緑色,3〜8mmの粒状結晶である.錐面p (111)が発達し,柱面a (100)は細いもの,あるいはこれらが多数集合し,肉眼的には錐面が円味を帯び,仏頭状になった集合結晶などが認められる.一般に稜が円磨され,結晶面は明らかでないものが多い.

96. ダンブリ石
Danburite CaB
2Si2O8
産地 大分県尾平鉱山/宮崎県土呂久鉱山
尾平鉱山および土呂久鉱山は本邦の代表的なダンブリ石の産地であって,古くからWEBER (1903),GOLDSCHMIDTandPHILLIP (1912),HARADA (1938)等により形態,化学組成,光学性にかんする研究が行なわれている.標本は,石灰岩の接触変成帯に斧石あるいはざくろ石とともに産するもので,無色透明ないし半透明(まれに包有物のため淡緑色),長柱状をなし,柱面では縦の条線が著しい.GOLDSCHMIDTandPHILLIPによる軸率 (a :b :c = 0.9180: 1: 0.8820)に従って結晶面を以下に記載する.
土呂久鉱山産は径1.5cm,長さ4cm程度の柱状結晶で,a (010),b (100),d (011),l (110),J (120),w (201)の諸面が認められる.このうちl ,d ,w 面の発達が著しく,錐面d ,w がほぼ等大に発達した場合は4角錐形となる(左右軸がa 軸,前後軸がb 軸).なおw 面は平滑さを欠く場合が多い.
尾平鉱山産には,土呂久産同様の4角錐形の柱状結晶のほかに,w 面が特に著しく発達して先端が鋭い楔形をなす透明結晶がある.この楔形柱状結晶では,l ,w 面のほかに,a ,b ,d ,J ,c (001),t (101),λ (212),r (111),e (121)の小面と,n (210),あるいはF (650)面が認められる.

97. 黄玉
Topaz Al
2(SiO4)(F, OH)2
産地 岐阜県苗木/滋賀県田の上山

黄玉標本は,ペグマタイト中から産した,無色ないし淡青色・透明ないし半透明の良結晶で,m (110),l (120),f (021),u (111),d (201),y (041),o (221)の諸面が認められる.このうちm ,l ,f の面がよく発達し,またm ,l 面においては縦の条線が著しく,強いガラス光沢を有する.晶相は次の2つの型に分けられる.

(1)柱状結晶
田の上山産は柱面m ,l の発達で特徴づけられる典型的な柱状結晶で,m ,l ,f 面のほかに,y ,o ,u ,d の小面が認められる.径2.5cm,長さ4cmである.
苗木産は短径7cm,長径9cm,長さ7cmの大結晶であって,m ,l ,f 面のほかにo ,u の小面が認められる.
(2)両錐8面体型結晶
田の上山産においては,l ,f 面がほぼ等大に発達し,両錐8面体をなす.m 面は非常に細く,o あるいはu ,d 面の発達も弱い.径2.5cm程度の小結晶である.

98. 紅柱石
Andalusite Al
2SiO5
産地 滋賀県田の上山/京都府木屋村/山口県鞍掛山/福岡県福吉
福吉産紅柱石は,ペグマタイト産長石中に紅色長柱状の結晶として含まれ,その長さは10cmに達するが,端面は明らかでない.なお結晶表面には,分解産物である鱗片状白雲母が認められる.
田の上山産も長柱状結晶で,白色を呈する.
木屋村産および鞍掛山産は,泥質のホルンフェルス中に長柱状紅柱石を認めるが,これらは結晶内部に黒色物を含み,空晶石chiastoliteと称されるものである.結晶は淡紅色で,m (110)面がよく発達した4角柱状をなし,径7mm,長さ5cmに達する.

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