地球に降り注ぐ宇宙の塵
〜新しく発見された地球外物質〜
Cosmic Dust Accreting to the Earth

 宇宙塵は地球に降り注ぐ宇宙の塵です。大部分は直径100ミクロン(だいたい髪の毛の太さ)以下の極細粒の粒子です(図A,B)。宇宙塵1粒の化学組成は太陽の化学組成とほぼ同じです。これは45.6億年前の太陽系形成時に、さまざまな元素が太陽と同じ割合で太陽系に存在していた頃に宇宙塵が形成されたことを意味します。宇宙塵は1年間に1平方メートルあたり1粒の割合で、地球上に落下していることがわかっています。もしかしたら皆さんの肩にも降りかかっているかもしれません。

図A:高層大気(高度20km)で捕獲された宇宙塵。

図B:南極氷中から回収された宇宙塵。


 宇宙塵に含まれる元素やその同位体比を調べることによって、宇宙塵がどのような過程を経て地球にやってきたかがわかります。我々は宇宙塵に含まれる希ガス(He, Ne, Ar)の同位体比を測定しました(図C)。すると以下のことがわかりました。

図C:宇宙塵を段階加熱(400〜1700℃)した際に放出されたNeの同位体比。宇宙塵は太陽風起源の希ガスに富みます。このことは宇宙塵が宇宙空間で太陽風照射を受けていたことを示します。また、宇宙線照射起源のNeに乏しいことから、宇宙塵形成から塵として宇宙に放出されるまでを天体内部の宇宙線が遮蔽された部分で過ごしたことを示しています。


パネル作成者: 中村智樹、野崎 航(理学研究院地球惑星科学部門)

【会場マップに戻る】 【もどる】 【すすむ】