“生命の起源”に対する化学的アプローチ 〜もはやSFだけの世界でなく〜(2)
Chemical Approach toward "The Origin of Life"

膜の機能の本質と原始の細胞膜

 膜脂質は水中に分散すると簡単に自己集合し、膜を形成します。よって、膜物質が、生命の起源に大きく関与したのではないかと考えられます。

 リポソームという分子集合体を用い、内部にアミノ酸を導入して様々な環境下においた時の漏出量の経時変化を調べました。

 この実験の結果は、簡単な“原始”の細胞膜でも、生物に必要な物質を選択的に集める可能性を示していると思われます。

“古細菌”のからだ(膜分子)、すみか(生育環境)
そして足跡(分子化石)


 鹿児島県霧島温泉、八幡地獄の写真です。温度は90-75度、pHは2.2です。ここにも熱水1mlあたり、およそ百万の微生物が棲んでいます。

*高温の地熱地帯は近づくと危険です。


 熱水の1滴の顕微鏡写真です。丸いもの(球菌)や細長いもの(桿菌)が見られます。

*これらの微生物に病原性はありません。

 80度を超える高温の熱水中にも、超好熱菌と呼ばれるたくさんの微生物が棲んでいます。

 ここに棲む微生物は、多くの原始的な特徴を保存しています。また“古細菌”と呼ばれる特徴的な菌が多く含まれています。

 古細菌は特に膜脂質に特徴的な分子構造を持ち、古細菌の死後も、その一部が一種の化石(分子化石)として地層のなかに残ります。


パネル作成者:村江達士・北島富美雄(理学研究院地球惑星科学部門)、河野徹士・谷本 大(理学府地球惑星科学専攻)

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