■渡来的形質のひろがり■

 弥生人・古墳人を統計的に分析し、渡来的形質をタテ軸にとり、福岡市からの距離をヨコ軸にとると、形質のひろがり方がわかる。
 結婚などによるふつうの形質のひろがり方をしたときは、右下がりのカーブを描く。そして、カーブがゆるやかな場合には形質の分布範囲が広く、急な場合には狭い。


 弥生人は、西北九州へとむかう海岸ルートは急に落ちていくのに対して、山陰へと向うルートでは値は落ちない。
 古墳人も、九州を南へと向かうルートは急なカーブ、豊前の平野部を通って東九州を南下するルートはゆるやかなカーブをなす。しかし、弥生人と同様、東へと向かうルートではカーブをなさず、近畿になると逆に上昇する。


 これらから、渡来的形質は、稲作の適地である平野部に向かって広がり、山陰や近畿へはふつうのひろがり方だけでなく、人の移住などを伴ってひろがった可能性を示している。

筑前を基準にした渡来形質のひろがり


「渡来人のルーツ」に戻る/目次から始める/「混血の進行」に進む