■古人口学■

 古代人の寿命や出生率、死亡率、人口の動きなどを解明し、いわば古代人の生きざま、死にざまを明らかにしようと言うのが、古人口学と呼ばれる分野である。図は、生まれ落ちた子供が、年齢と共にどの程度生き残っていくかを示したもので弥生時代には、出生数の半数前後しか成人になれず、平均寿命もせいぜい30年前後だったと見なされる。しかし、最も危険な幼児期を生き延びればかなりの寿命が期待でき、平均で生涯に5、6人の子供を生むことも可能だったことがわかってきた。実際に弥生時代の遺跡調査などによって人口の急増が裏付けられ、稲作農耕による安定した食料供給を支えとして、渡来人集団が急速に人口を増やし、各地に広がっていったものと推測されている。

時代別生存数

(中橋・1997より)


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