■抜歯風習■

 古代人は、成人式や婚姻、服喪などに関連して、健康な前歯を無理矢理引き抜く、かなり乱暴な風習を持っていた。日本では縄文時代後半に大流行したが、渡来系弥生人の代表的存在である土井ケ浜集団でも、なぜか盛んにこの風習を実施しており、同集団を渡来系とする見解に疑義が出されていた。しかし、土井ケ浜弥生人の抜歯には、上顎側切歯を抜去する、古代中国と共通する形式が多く、この点でも大陸との関係を明らかにする必要が出てきた。弥生人の抜歯風習はもとより、縄文人の抜歯の起源問題も含めて、目下、中国の専門家と共同で研究が進められている。

土井ヶ浜 弥生人


中国・山東半島の新石器時代人

(中橋・1996より)  


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