概要: 21世紀においては、地球温暖化などを踏まえ、環境に最大限配慮したエネルギー技術が不可欠である。九州大学筑紫地区には環境低負荷技術である「ソフトエネルギー」の様々な分野で最先端の研究活動に従事する研究者が集まっており、国内外の中核的研究拠点の一つとなっている。本P&P(Cタイプ)プロジェクトではこのような個別の活動を結集し、全学共通教育科目、公開講座、産学連携活動、情報交流活動、eラーニングなどに幅広く対応できる総合的な教育プログラムを作り上げたので、その概要を紹介する。
P&P(Cタイプ)「次世代のソフトエネルギー」






九州大学筑紫地区における次世代ソフトエネルギーに関する最先端研究

最先端技術をわかりやすく教育するための総合的なプログラムの構築



全学共通教育科目の立ち上げと電子化された教育教材の作成

平成15年度全学教育科目〔個別教養科目(高年次履修科目)〕
「次世代のソフトエネルギー」
Future Soft-Energy Technologies
後期開講(箱崎地区・工学部本館1階大講義室、火曜日1時限目)

 地球環境問題の深刻化に伴い、21世紀では水力、火力、原子力などの大規模発電における高効率化と並んで、分散型、オンサイト型、携帯型、再生可能エネルギー利用などの地球環境にやさしい革新的な「ソフトエネルギー」技術により、電気を高効率に生み出したり変換したり省エネルギーを可能にすることが不可欠である。本講義では、次世代のエネルギー技術を理解するための基礎科学と最先端の技術開発の現状を、実際に研究に携わっている教官が概説し、将来の社会へのインパクトについて考察する。

 <講義内容>                     (講師)        開講日
1. 地球環境問題とソフトエネルギー技術       (佐々木)       10/7
2. 次世代発電システム
(1)燃料電池:化学エネルギーから電気を作る!    (佐々木)      10/14 
(2)太陽電池:光エネルギーから電気を作る!     (吉武)       10/21 
(3)熱電発電:熱エネルギーから電気を作る!     (大瀧)       10/28 
(4)波力・潮力発電:海の力で電気を作る!      (経塚)       11/11 
(5)風力発電:風の力で電気を作る!         (鳥谷、大屋)    11/18 
(6)バイオマス発電:植物から電気を作る!      (田島、高崎)    11/25
3. 次世代エネルギー貯蔵技術 
(1)次世代電池:電気を蓄えるには?         (岡田)       12/2 
(2)エネルギー物質貯蔵:金属にエネルギー源を蓄える!(橋爪)      12/9 
(3)エネルギー物質貯蔵:炭素にエネルギー源を蓄える!(光来)      12/16 
4. 次世代エネルギーシステムと社会 
(1)水素エネルギー:水素でエネルギー社会を変える! (西川)       1/13 
(2)エネルギーと人間-環境-社会(谷本)                   1/20
                                 (予備日) 1/27

産学連携のための研究活動紹介
 日本ゼオンと九州大学との産学連携に関する「連携研究技術交流会」(平成15年4月)で筑紫地区の次世代エネルギー技術研究全般を紹介。
(研究分担者の先導研・岡田らが包括提携研究を開始。)


ソフトエネルギー講演会の立ち上げ
 最先端の研究状況をより良く把握するために、学外から有識者を招いて行なう「九州大学ソフトエネルギー講演会」を立ち上げ、最先端の情報収集や交流活動を今後とも継続する予定である。具体的には、下記の講演会を開催した。

第1回「再生可能エネルギーへの期待と今後の技術的課題」(平成14年9月21日)
      柏木孝夫氏(東京農工大、総合エネルギー調査会・新エネ部会長)

第2回「地球環境と21世紀エネルギー」(平成14年11月19日)
      坂井正康氏(元三菱重工業広島研究所長)

第3回「燃料電池自動車開発の現状」(平成15年1月29日)
      許斐敏明氏(トヨタ自動車燃料電池開発センター)
    「プロトン導電性材料と水素エネルギーシステム」
      岩原弘育氏(名大名誉教授)

第4回「硫黄サイクルハイブリッドシステムへの導電性セラミックスの適用可能性」
     (平成16年2月20日)
      河村浩孝氏(電力中央研究所)
    「急速昇温可能なマイクロSOFCの今後の展開」
      森昌史氏(電力中央研究所)

公開講座の開催
 本P&P(C)研究者が中心(講師7名中の6人)となって平成15年度の総合理工学府公開講座を開催:
「環境調和型エネルギーの開発〜核融合からソフトエネルギーまで〜」

エネルギー教育のための映像ライブラリー作成
 エネルギー教育や(独法化を踏まえた)エネルギー技術に関する安全教育、さらに国際交流や留学生教育も視野に入れた日本語および英語版のビデオ/DVDの収集を行い、エネルギー教育用の映像ライブラリーを作成した。

主な収集ビデオ/DVD:「地球白書」(全3巻)、「地球環境を守る」(英語版)、「無限のエネルギー:風、太陽、地熱の力」(英語版)、「一次電池、二次電池、燃料電池」(英語版)、「水素・明日を拓くエネルギー」(日本語、英語版)「ガス爆発実験から学ぶ-高圧ガス保安教育ビデオ」、「知って安全・ガスの知識:水素」、「知って安全・ガスの知識:LPガス」など
研究課題:次世代のソフトエネルギーに関する最先端教育プログラムの構築
研究組織:総合理工学研究院・先導物質化学研究所・応用力学研究所
審査部門:理工科学  採択年度:H14  種目:C  代表者:
佐々木一成(総合理工学研究院 助教授)